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喫茶で小話集  作者: 愛組
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16/31

小話5 暇つぶし

 とある商店街の一角に、その店はあった。

 大きなビルに挟まれた、細い階段の先。「営業中」と書かれた縦長のプレートが、ドアにかけられている。


 ここは知る人ぞ知る、噂の喫茶店。老若男女関係なく、多くの人々が訪れる場所。



「はあ? どういう事だよっ」


 まだ陽の高い、昼の街中。十代後半といったところの青年が、声を荒げていた。彼の手にはスマホがあり、それをギリギリと握りしめている。近くを歩いていた人々は、そんな姿を見て「関わりたくない」と距離を置く。


 車のエンジン音にも負けない大声は、やがて舌打ちと共に通話を切った。


「どうすっかなあ、予定が狂っちまった」


 金色の髪をガシガシとかいて、眉を寄せる。どうやら予定が無くなり、暇になってしまったらしい。不貞腐れた様な顔で歩道を進む。


「……とくに、面白ェもんも無ぇしな。何か……ん?」


 金髪の青年は、グチをこぼしている途中で一風変わった人影に気づく。


 視線の先にいたのは、着流しの男。和服自体、普段着にする日本人なんて珍しい。


「なんだ、アイツ」


 興味を惹かれて着流しの男を追っていくと、ビルの隙間に消えていくの目撃する。青年はその場に向かい、隙間にある階段を発見。


「おいおい。こんな所に、店なんてあったのかよ!」


 男は好奇心が赴くまま、店の扉を開けるのだった。

次回は、水曜日の19時更新です。

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