小話4 ワタクシへの挑戦状
とある商店街の一角に、その店はあった。
大きなビルに挟まれた、細い階段の先。「営業中」と書かれた縦長のプレートが、ドアにかけられている。
ここは知る人ぞ知る、噂の喫茶店。老若男女関係なく、多くの人々が訪れる場所。
「ホントーに、間違いありませんの?」
「は、はい。この階段を上がった先になります」
喫茶店手前の階段で、場違いな服装の二人組がいた。文句をぶつけているのは、大きめのサングラスをかけた女性。太ももの半分丈のズボンに、薄手のパーカーを羽織っている。金髪のツインテールを揺らしながら、腕を組む。
「こんな怪しげな所に?」
「そ、そうです。お嬢様」
もう一人のスーツ姿に丸メガネの女性が、あわあわしながらも答えた。しばらく疑わしい目で、スーツの女性を見ていたお嬢様と呼ばれた金髪の女性は、一息ついて階段を見上げる。
「お店の看板も無ければ、場所も狭くて埃っぽいではありませんのっ?」
「で、では行くのを諦めてお屋敷に戻りましょう!? それが一番ですよ!」
「……」
必死に説得を試みる、スーツの女性。対して、お嬢様は考え込むように視線を階段の先へ。そして。
「……ここまで来て、帰るのも癪ですわ」
「えっと、お嬢様?」
目を細め、ニヤリと笑みを浮かべる。嫌な予感を察したのか、スーツの女性は青ざめた。
「いいでしょう。これは私への挑戦状、と受けとりました」
「何がどうなったら、そうなるんですか!?」
「では、早速参りますわよ」
「話を聞いてくださいっ!」
ズンズン階段を進んでいくお嬢様の背を、嘆きながらスーツの女性は追っていくのだった。
次回は、月曜の19時更新です。




