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悪役令嬢、偽造する


「まさか契約破棄…」

「違うから!そうじゃないから!」


なぜか私が二人に演技を依頼した瞬間、二人の後ろに急にいたルミリアが叫んだ。

何処から聞きつけたの?

あと契約破棄はしないわよ?私そんなに恩知らずじゃないわよ?


「精霊契約できていない人が王子捜索に出るのは貴族たちの懐疑の目で動けなくなっちゃうかもだからだよ!」

「なら私がやればいいじゃん!」

「精霊王様が何をやっているのよ!忙しいでしょ!」

「仕事とられたよ!」

「そうだった………!」


結構な声量で言い合う。

自分で言っては何だが、会話内容が幼稚な気がする、きっと気の所為じゃない。


「みーちゃんの精神年齢の退行が著しい…」

「無邪気なのはいい事だ、知識も知力も人以上にあるから安心しろ。」

「女王様としてどうなの?」

「あまり女王として見られてないからいいだろう。」


こそこそと後ろで話す声が聞こえる。

そして顔に出てはいないがルミリアがちょっとずつダメージを受けている。


「むう、わかった…護衛付けるって言ったのは私だしね。」


案外早めにルミリアが折れた。

後ろで二人が達成感を醸し出している気がする。


「で、どっちがやるの?」

「「私だ!」」

「どっちだよ。」


ルミリアが達成感を滲ませる二人に、打って変わって大人のような態度で問うた。

すると二人とも自分を指さした。すかさずルミリアのツッコミが入る。

二人は互いを見やり、どちらともなく言い合いを始めた。

最初は小さな声だったが、段々声量が大きくなっている。


「これでも私は強いの。それにそっちは、魔法の規模が私より小さいじゃない。」

「知識量は私の方が上だ。あと、この任務に魔法の規模は関係ないだろう。必要なのは技術だ。」

「その技術だって拮抗しているでしょうが!」


私がやった方がいい、わたしのほうがうまくやれると白熱していく言い合い。

そのうち面倒になったルミリアがこそっと声をかけてきた。


「フィナはどっちにやってもらいたい?」

「私はどちらでも。」

「じゃあ、面子増やすのはあり?」

「増やすって?」


私が疑問の声をあげたとき、ルミリアはいたずらっ子のような笑みを浮かべ、ふわりと消えた。

ちょっと後、またふわりと戻ってきた。手を繋いでいて、相手は春奈さん。


「2人とも~」


間延びした声で二人を呼び止める。

目線のみコッチに向けた二人は春奈さんを見て目を丸くする。頭の上に[・・・]と出てきて、その後無言でルミリアを見る。


「人間の役を春奈にも頼むから、三人でついて行ってね!」

「ナイスルミリア!」

「あと一回演技始めたら終わるまでローテできないよ、注意してね。」

「むしろずっと護衛でもいいわ!」


嬉々として受諾する二人。

春奈さんは良いの?と思ってみたら笑って手を振られた。これの意味は恐らく『これからよろしくね』だと思う。


「で、どっちが契約精霊?」

「「私だ!」」

「ふりだしに戻った!」


無限ループって怖い。

ルミリアもきっと呆れ顔だろう…ねえ、なんでいかにもわかるよ、その気持ちって感じの顔で微笑ましそうにしているの?

けど収拾がつかないことを悟ったからか、「さっさとジャンケンで決めて」と事態の収拾を着けにかかる。


「「ジャンケン…ポン!」」


愛莉さんがグー、小百合さんがパー


「ああああああああ!」

「よっしゃああぁぁあ!」


叫び声が二つ上がり、耳を塞ぐまで行かなくとも、少しうるさい。

これが近代日本だったら、近所迷惑この上なかっただろう。だが、ここは大きな屋敷だし広い庭園も広がっているので、そんなことにはならないだろう。


「取り合えずコレ偽装の契約紋ね。あ、小百合~こっち来て~」

「あ、ほ~い。」

「くそっ…完敗だ…」


ルミリアがわたしの左手の上に手をかざす。すると軽く光り、契約紋らしきものが浮かび上がった。

コッチにやってきた小百合さんにも同じことを行い、わたしたちの手の甲には全く同じ文様が浮かび上がった。


「これからよろしくね!護衛頑張るから!」

「うん。よろしく。」


改めて挨拶しているときに、愛莉さんと春奈さんにも同様の事をしたルミリアは、「なら私は仕事「やめときな!」」とコントのような掛け合いをして帰っていった。


「嵐のようね…」

「昔は外じゃここまでじゃなくって、人の輪に入るのに一瞬ためらって遅れちゃう子だったはずなんだけどね。でもこっちのほうが、みーちゃんらしくっていいでしょ。」

「確かに」


クスクスと笑いあって、さあ行動を開始しよう…と思ったところで、机の上にノートと風呂敷包みが現れる。


「「‥‥‥」」


どうやら突撃調査は後回しになりそうだ。


春奈と愛莉も契約紋(偽造)を付けてます

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