悪役令嬢、嘘をつく
いるのは前の路地裏、ニストが私を迎えに来た場所だ。
そして、今ここにいるのはニストではなく愛莉さんと小百合さんだ。
2人が迎えに来たので、ルミリアは転移していった。宣言通り子供たちをかまいに行くのだろう。
「一旦フィナイースさん家に転移するよ。」
「まって、2人はルミリアみたいに知られてないからまずいんじゃない?」
「あの坊やがいるんでしょ、大丈夫よ。」
即転移しようとして慌てて止めた。が、気にされずに転移した。坊やって誰?まさかニスト?
坊やって年でもないし性格でもない…いや、精霊からしたら坊やであってる?
やってきたのはエントランス。私の部屋に転移だと思っていた。
でもよくよく考えると私の部屋が分からないか。
時々見てたルミリアじゃあるまいし。
そしてたびたびごめんなさい皆。もういっそのこと慣れて。
「ほら、待ってるから支度しておいで。」
「え、でもこれ以上待たせるのは」
「お嬢様!?」
「あら坊、こんにちは。お邪魔してるわ。」
「坊!?」
マイペースな二人に振り回される屋敷の中。
しかし、そんな事よりやることがある。
レ―ヴィアン伯爵に突撃しなければいけない。でも、そのための口実が必要。精霊の威光に頼ってもいいけれど、個人的に真正面から叩きのめしたいので自力捜査を行う。
ルミリアが精霊の権力を使おうとしなかったのは恐らく私に選択肢を残すためだ。つまり『どんな方法を使ってもいいよ』という許可。ならばそれ、存分に活用させてもらう!!
「と、いうわけなので人間が出来る範囲で操作します。」
「「おー!!」」
「‥‥‥(呆)」
着替えて動きやすいドレスをまとって私の部屋で作戦会議を行う。
呆然としたニストを座らせ(ようとしても執事の意地か座らせ)れなかったので、取り合えず正面に立たせ、三人で手を突き上げる。
「勘のいい、または推理力の高い人間ならできるであろう範囲で精霊の権力を使い、あくまで優秀な人間が行ったように見える演出を施しつつ、ぐうの音も出ない程殿下を叩きのめします。」
「さんせー」
「殿下の呼称いる?」
反論の一つも出来ないような決定的な証拠をあくまで人間的な範疇で見つけ、格の違いを見せつける作戦
「でもそれだったら精霊の力使いまくってよくない?」
「え?」
しかし小百合さんは急にそんなことを言い出した。
確かに人も魔法は使えるが、精霊と比べたらちょっと…いや、だいぶ弱い。
故に精霊契約が重視されるのだが
「どうして?明らかに違うじゃない。」
「ん~、なんていうのかな?私たちの力ってそんな神様みたいなんじゃないの。みーちゃん除き。」
「???」
簡単に説明しようとしてくれたみたいだけれど、難しかったようでよくわからないものだった。
「あー…私たちってはじめ、世界のバランスを変えないために人間と契約したの。環境破壊、生態系破壊、エトセトラ…
それを化学物質とか人工的な物でされると修復に時間がかかるから、それより便利なもので発展させようって。」
「つまり?」
「精霊の力は元をたどれば精霊王の力だ。眷属だからね。つまり世界を構造した最初の力、もとより世界そのものの素材。私たちが人と契約するのはその力を使わせることで、『いつか人間が叶えたいと思ってしまう事』を可能にして世界のバランスを崩す行為を精霊で管理するため。人の欲をより簡単に叶える方法を人に与えて、銃だの大砲だの核だのを作らせないようにするための方法だ。」
愛莉さんは精一杯説明しようとしてくれている。
だが、最初の疑問とつながっていない。
「けど、精霊も力を持ちすぎると危ない。
もちろん裏切るとかじゃないよ。みーちゃんは全く思ってないし、もし裏切られてもショックを受けるだけで責めないし、そのあと帰ってきたら反抗期で片づけるだろう。問題は契約者が悪い場合だ。
その場合、精霊の意思なく願いをかなえるための力が振るわれてしまうかもしれない。精霊が自己を独立させているのは善悪の判断を付けるためだ。そして悪事を行わないよう自制するため。逆に言えば自己を抑え込まれたり操られたり、壊されたりしちゃったら簡単に力が振るわれてしまう。
今のところありとあらゆるものに耐性がある精霊を捕らえるすべはないようだけれど、人の強みは作る力や進化する力だ。
…神となったみーちゃんはかつて確かに持っていたその力に自信がない。階位が高まりすぎて、人がどうしたいか考えるのが難しくなっている、イコール人が持つ発想力が無くなってきている、とみーちゃんは考えている。
みーちゃんはみーちゃんが予想できない抜け穴が、どこかにあると思っている。
私たちもそれに共感した。よって、何があってもみーちゃんや他の精霊、もっといえば魔族がフォローできて、なおかつ被害に遭うであろう人間たちが変わらぬ生活を送れるようにしたいと考えた。
そのために、わたしたち精霊の力は、世界がすべてと調和でき自然に発展した時出来ること、まあ、身もふたもなく言えば『産業革命や高度経済成長が兵器などと関わりなく自然を壊さず公害も起きることなく環境に配慮させて行われたら出来ること』という極限定されたことを過程なく起こすのが我らの力だ。
それ(環境破壊)を引き起こしたとしても、有害物質発生しないし、さっきも言ったがみーちゃんの力≒世界を構成するものだから修復も楽だし大気汚染とかもならない。
それにみーちゃんが必要かもと思った属性が火、水、土、風、植、光、闇であり、そのあと足されていった属性を持つ者がユニーク精霊だ。」
…長々と言われて混乱しているけれど、結論だけ言ったら『産業革命や高度経済成長が兵器などと関わりなく自然を壊さず公害も起きることなく環境に配慮させて行われたら出来ること』が精霊の力で、それは人が発展すればできるところで抑えられているということ?
「まあ、上位になった精霊の力を人が再現できる確率は百万分の一にも満たないんだろうけどネ。」
こら台無しよ小百合さん!
「コホン、ともかく精霊の力≒人の技術の頂点(エコ仕様)とだけ理解してもらったら十分。」
「けどそれ少なくともこの世界の今じゃあできない事よね?却下」
「Oh my god」
愛莉さんは長々とした説明につかれたようでパチンと指を鳴らし水筒を持ってくる。
結局説明はふわっとした部分があったが、ニュアンスで分かったので問題なし。
「何はともあれ最初に使うのはうちの権力よ!幸いにも王子捜索は陛下の命令、わたしが参加したって問題ないわ!」
侯爵家の令嬢がやらかした弟の尻拭いの名目で駆り出される例は少なくない。自身の家の忠誠を示すことと跡取りへの再教育を同時進行で行わねばならないからだ。前例も多い。
しかし、その令嬢が精霊の嫌われ者だったことは無い…
「で、お願いがあるんだけれど、どっちか私の契約精霊のふりしてくれない?」
「「え?」」
「えええええええええええ!」
どっから出てきたルミリア!
話がグダグダしてしまいました。すみません!
皆様、良ければ番外編もご覧になってみてください。
『とある神の子の物語』相当気合いを入れて書きましたので!




