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精霊王、状況把握する

精霊王、ルミリア視点です。


さて、早速始めようか。


「リシー、国王と第二王子、第一王女の子たちを呼んでくれる?」

「かしこまりました。」


会議室に使っていた応接間へ戻りリシーに招集を頼み、扉から歩いて退室する。

ずっと飛んでいてもいいが、人間の感覚からすると、長い間浮いていると不安になる。

まあ、一日中でもなければ楽しいだけだが。

なので半分飛んで半分歩くぐらいがちょうどいい。

転移は便利だが、運動不足になった気分がしてならない。精霊の体に“運動不足”なんてものは存在しないと頭では理解しているが、まあ気分の問題だ。


廊下を歩きつつヴェールを外す。

魔法で付与もしているから、息もしやすいし視界も全くふさがれない。

一方的に見えるので、最初水族館の水槽を思い出した。

それをセルシエに言ってみたら、『水族館ってなんだ?』と返された。

セルシエの前世の世界では水族館は無かったようだ。


しかし相変わらず、歩くのにドレスは邪魔だ。

愛しい子たちはどうしても私にドレスを着てほしいようで、改良に改良を重ねて快適なようにしてくれたが、運悪く今日のドレスは裾にふんだんにフリルが取り付けられており、走れない。やはり前作ったジャージが一番楽なのである。


歩いていると、城の中心に作られた中庭についた。

ここは太陽光を取り入れるために吹き抜けになっている。

ここから飛び、中庭に面する場所で最上階の廊下に向かう。

柵を乗り越え、また歩く。ここは中庭に面する最上階であり、城の最上階ではないのだ。


しばらく歩き、今度は素直に大階段を上る。

その先の廊下を歩いて突き当り、他より大きな扉、そこが今世の私の部屋だ。


扉を開けるとそこは広いリビングルームになっており、左右に扉がある。

入って右側は寝室につながっており、その先にウォーキングクローゼットがある。両方とても広い。

左側は物置だ。様々なものが置かれているが、愛しい子たちからの贈り物が大部分を占めている。こちらもとても広い。

 執務室や水回りは専用の物が同じ階に取り付けられている。

愛しい子たちに頼み込まれて、私もなんかはしゃぎまくって作ってしまったが、ぶっちゃけると後悔している。一般市民だった私には、専用の場所がまるまる一階分なんて広すぎる。

しかももう慣れてしまったのがむしろ怖い。『贅沢ってなれるものなんだなぁ』と、割と本気で焦っている。


ソファーに座り、少し考えて向かいのソファーの半分に台とクッションを置いて高さを増やした後、考える態勢に入る。


はっきり言うと、今までセルシエ、転生精霊の前だけだったはずの私のポンコツっぷりが、段々増えて言っている気がする。というか増えている。

フィナの前でも発揮されるようになったのだが、フィナは基本城にいるので、子供たちにもすっかり露見しているだろう。恥ずかしい。


しかし進んで威厳が欲しいわけでもない。

甘えてくるのも大歓迎だ、というより精神年齢がほぼ一緒なので甘えてこないのだろうか。精霊や魔族に共通している事なのだが、精神年齢が進むのが本当に遅い。いっそ止まっているといってもいい。肉体年齢が進まないからか、精神も変わらない。

一応成長はゆっくりだが進む。ところが、老化しない。永遠を生きるから当然だが。


今はもう、取り繕っていこうとは思っていない。親だから、と愛しい子たちの前では手本となれるよう気を使っていたが、仕事をフィナに止められてから知った。

皆もう大人だ。

もう皆体が成長しない、つまり大人の体を持っている。

精神年齢も止まっている、つまり大人の精神を持っている。

むしろ子供は私の方だ。


もちろん庇護が必要な子たちもいるだろう。精霊の内、私が力を使って生み出した子たちや、その子たちが生み出した子たちは、血縁関係はない。だから兄弟姉妹と育っても、極論私や兄弟姉妹、親にあたる精霊とも結婚可能だ。

だが、結婚している子は私に近い子たちはいない。

いるのは私→最上位精霊→高位精霊→中位精霊→下位上級精霊→下位下級精霊とそれぞれが自分の力を使い、子(扱いとしては眷属)を生み出していった中で、一番階位が高くても中位精霊だ。


そんな子たちの実子は、赤子として生まれる。

通常精霊は、人間に例えると4歳位の子供として、最低限喋れるし動けるし戦える状態で生まれる。

よって精霊たちは慣れぬ子育てを周りと協力して行うのだ。


だが、生まれたての精霊程危険にさらされる者はいない。

人間は欲深い。信仰の対象や協力的・友好的な存在だとしても、我が物にしたいと思ってしまう。

うっかり一緒に喚び出されたら、そのまま子を攫われてしまったという事例も何度かあるのだ。そういう子たちは守らないといけない。


つまり基本的に私が守るべきなのは、『本当の意味での精霊の赤子』である精霊の夫婦の子だ――


コンコン

考え込んでいると、静かな部屋にノックの音が響く。


「陛下、入室してもいいでしょうか?」

「うん。」


ここも昔は「ええ。」って答えていたな、と思いつつ入室許可を出す。

最初に入ってきたのはティーセットの乗ったワゴンを無音で押すリシー。

その後ろについてきたのは、城で見たことのない2人の精霊。


「お初にお目にかかります、陛下。ユニーク精霊が一人、ミントと申します。」

「お初にお目にかかります、陛下。植物の精霊が一人、ジーライと申します。」


先の子が雪のような髪を綺麗に揃えた男の子。

後の子が手のひらサイズで羽の生えた象だ。


「急に呼び出してごめんね。座って頂戴。」


ソファーに座るよう促すと、「「失礼します」」と声をそろえて着席する。ジーライは小さいし座れる体をしていないので、台で高さを増した上に設置されたクッションの上に着地する。すかさずリシーがお茶を淹れる。これもジーライは超ミニサイズを目の前に置いた。

「リシーも座っていいよ。」と声をかけると、固辞したりせず「では、失礼いたします。」と私と2人の間に座る。階位で劣るジーライを遠慮させない配慮と直ぐ気づいてくれるあたり、この子はとても優秀だ。


これで私たちは横長の四角テーブルの、長辺1辺に私、もう一辺に2人短辺の片辺にリシーという形になった。


「単刀直入に聞くね。貴方たちの契約者はどんな人?」


私は端的に尋ねた。

しかしこれだけでは答えづらいだろう。

2人も私の意図が分からずに首を傾げている。


「貴方たちから見た、彼らの性格や好きなことを教えてほしいの。」


補足として付け足す。

2人は何故その質問をするか分からないようだが、答えられない質問ではなくなったので答えてくれた。


「エリザベス…我、じゃなくて私の契約者は」

「敬語はいいわ。」


ミントが切り出してくれたが、敬語が慣れない様で言いづらそうだった。

事実そうだったのだろう。許可を出すとほっとした様子だった。


「エリザベスは、プライドはあっても傲慢ではない娘です。しかし多少頭が固く、予想外の出来事を苦手としています。正直でないところもあり、同年代の家格が下の者からの注意などは『そんな事、分かっていますわ!』と返してしまい、後から道理に気づいて凹んでおります~。まあ我はそういうところが面白いのですが~。」


第一王女、エリザベスはツンデレらしい。

…そしてそれを面白いと早口で言い切ってしまうミントはSっ気があるな。

強く生きて、王女様。


「シェグビナはまったりとしとんのです。欲っちゅう欲をもっとらんので、意欲っちゅうのももっとらん。無欲過ぎで、知識欲・権力欲もねえわけで…周りんことも煩わしいと思っているもんです。わてもあやつの無関心っぷりが不安で不安で…魔法に興味を持ってくれたことだけが救いでっせ。」


第二王子、シェグビナは無欲・無気力少年。

ジーライは世話焼きな感じがする。本当に契約者が心配らしい。

でも、魔法好きならそこそこ魔力のある第二王子なら大丈夫そう。


「第二王子は魔法が好きなの?」

「そうとも言えるっちゃあ言えますが、魔力があっとも魔法が下手なのじゃあ。」

「あぁ…」


魔力操作が苦手なのか。

無気力少年のスイッチなのに、どうしてもオンにできないのな。


「第一王女は権力欲とかあるの?」

「いや~、エリザベスは目上の者は敬っておりますので。」

「つまり?」

「第一王子に懐いております~。」


頭を抱えた。一切取り繕わずに。

しかも続きがあるようだ、「あの~まだちょっと続きます~。」とか聞こえてくる。

軽く頭を振って切り替え、ミントと目を合わせた。

それを許可ととったのか(実際許可だが)また話し出す。


「今は軟禁状態の兄を助けるために、第一王子の取り巻きの誰かと婚約しようと思っているそうです~。」


空を仰いだ。一切取り繕わずに。



ルミリアは自覚してないが、長い間精霊王として生き続けた結果、精神年齢はむしろ1・2才位下がっていたりします。

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