悪役令嬢、会議終える
くっそ遅くなってすみませんでした!
「あら、ヴェールなのかしら?それ。」
私は帰ってきたルミリアに質問する。
彼女のヴェールは、本当に顔が全く透けていない。
こめかみのあたりに花飾り。
顔を完全に隠す構造で、頬のあたりまで後ろの物と引っ付いている。風が吹いても口元までしか見えないだろう。
後ろは長く、膝裏まではある。髪を結いあげたら完全に隠せるようにしているのだろう。
布はすべて同一の素材でできており、不思議な光沢をもつ真っ白なものだ。刺繍などは入っていない。
「顔は隠れる。問題ない。」
真面目な顔で、必死に言い募る美少年。
『必死』ということは分かるが、詳しい事は目から読み取れない。
でも分かる!
ルミリアが『普通のヴェールにする?』とかいって顔完全に見えるウエディングヴェールみたいなやつでも付けてきたら目も当てられない!
ルミリアはほんわかしてる。
『久しぶりだなぁ』って、ふわふわ笑ってる。
ヤバイ
凄くヤバイ
上機嫌+上機嫌+絶世の美貌=事故発生
→皆が死ぬ!(美しすぎて)
見るな危険!
「じゃあ、会議を再開しまーす☆」
上機嫌だ。
かつてなく上機嫌だ。
気のせいかもしれないが語尾に☆マークついてる気がする。
だが頑張って考えを逸らす。
切り替えろ。切り替えて会議に集中するんだ。
「と、いってもこのままでは先に進まないので、私が妥協します。フィナに護衛を付ける。これでいい?」
「進化には時間がかかるし、精霊の場合はお前しかできない。ルミがこいつを守るのは無理だぞ?」
「ラースとレースに頼む。後はフィナの仲良しで固めるよ。」
ルミリアは私に護衛を着けようとするようだ。
しかし際高位精霊2人(+α)だなんて、過剰戦力じゃないだろうか。
「しかし精霊王様、こちらに戦力を割いてもいいのですか?」
「大丈夫。」
同様の疑問を抱いたニストがやんわりと問いかけるが、一言で返され引き下がる。
素っ気ないが、上機嫌さが後を引いてくれているおかげか、声音は優しい。
所でニスト、あなた“ラースとレース”が誰か分かっていないわよね?
知らないから簡単に引き下がれたのよね。後でびっくりするわよ。
「では方針決定!」
脱線したおかげで苦労した会議だが、案外あっさり終わった。
「フィナは一旦帰る?」
ルミリアはそのまま公爵家に行くか質問してきた。
「そうですね。ご家族の時間も必要でしょうし、良ければこのまま一時帰還させていただきたく存じます。」
私が返す前に、ニストが答える。
勝手なこと言うな…とは言えない。家族と一緒に過ごす時間は楽しいのだ。
「了解。明日また迎えに行くね。冒険者の活動もしなきゃだし。」
「そうね!!」
そういえば、他の印象深い出来事で忘れていたが、冒険者登録をしたんだった。
年甲斐もなくそわそわしてしまう。いくつになっても冒険は楽しい。
「じゃあ、俺はカトラウェン行ってくる。ルミはそいつら送った後、国王に連絡入れといてくれ。」
「わかった。第二王子の子と王女様の子にもね。」
「ああ。忘れんなよ。」
「もちろん。」
美少年はルミリアにさらっと話しかけ、ルミリアの返事にふっと微笑んで転移した。
無邪気にルミリアは手を振っているが、メイドさんの視線が怖い。
メイドさんたちすごい。
あの美形の小さな、でも純粋な笑みを前にしてガンつけられるのがすごい。
ルミリアがくるっと振り向く。
瞬間すまし顔をするメイドさん。流石プロだわ。
そしてこっちに話しかけてくる。
「これから送るけど、どこへ転移する?」
「ではお嬢様の私室にお願いします。」
ニストがにこやかかつスムーズに返し、一つ頷いたルミリアはポンと手を叩く。
即座に景色が変わり、私とニストは私に部屋のソファーに座っていた。
ルミリアはふわふわと宙に浮いている。
そのまま地に足を付け、こちらに近づいてくる。
「私はこれから連絡係やってくるけれど、明日何時に来ればいい?」
「そうね、でもお母様たちが色々予定を入れていそうだし…ルミリアに分かる合図とかはない?」
「なら鍵に魔力を流して。」
「分かったわ。」
軽く話し、用が済んだのか、
ルミリアは「また明日~」といって転移していった。
「ふううぅぅ…」
私は大きく伸びをする。
会議で多少疲れがたまっていたのだろう。部屋についた今、肩が凝っている気がする。
「お疲れ様でした。ごゆっくりお過ごしください。」
ニストも同意見のようだ。
だが私と違って精神的な面が大きいだろう。
純粋なこの世界の人間にとって、精霊王の存在はそれほど大きい。
…素の性格も見ちゃったし。
ニストは退出し、恐らく休憩兼帰宅報告をしに行ったのだろう。
ようやく一人になった部屋で、私はもう一回伸びをしたのだった。
その後、家でゆったり過ごしたのだった。
ルミリアは個人情報漏洩の対策が完ぺきだった。
性別以外ばれていない徹底ぶり




