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悪役令嬢、後悔する


「じゃあ、またね~」と気軽に、親しい友人のように声をかけるルミリアにひやひやしながら(精霊王の方が身分上だけれど)退室し、城内を歩く。

混乱を避けるため消えたルミリアがいないため、殿下が近くにいるかいないかわからないので、周りに気をつけながらゆっくり歩く。


「お嬢様、少々肩に力が入り過ぎかと。」

「仕方ないでしょう。鉢合わせたら面倒なことになるわ。」

「それは確かに。では自分が先を見てきましょうか?」

「いらないわ。それより後ろから不意打ちされることの方が怖いから。」

「かしこまりました。」


いつになくニストも真剣な表情ね。

でも、一人で歩くのも怖いし、正直助かる。

これでからかってくるのが(いじってくるのが)なければ完璧なのに。もったいない。

ニストの能力ならお父様付きにもなれるでしょうし、フィラン付きも余裕。

恐らくからかい癖の所為で、後継ぎでもない長女の専属。

はぁ。本当にもったいない。


「やはり騒がしいわね。」

「謹慎中の王子が、陛下の命に逆らって逃走など、早めに捕まえなければ、反乱を招きますね。」

「ええ、まったく。殿下も考えて行動していただきたかったわ。」

「考えて行動出来るなら、婚約破棄など起こりませんよ。」

「私の冤罪も気付くでしょうね。」

「本当に、王位継承権第一位の王子が反乱分子とか、世も末ですね。」

「もう第二王子殿下に立太子してもらったほうがいいんじゃないかしら。」


緊張を紛らわすためにニストに話しかけたら、思いの外盛り上がったわね。会話の内容がコレじゃなかったら、微笑ましい主従の図なのかしら。

とりあえず早めに見つかってほしいわ。殿下

…っと、これじゃあまるで指名手配犯扱いね。仮にも王族なのだから、敬わなければ。


「第一王子殿下をお嬢様が敬う必要はありませんよ。」

「さらっと心読まないでくれないかしら。というか、前まで読んでなかったでしょう?今になってなんで唐突に心情を読むようになったのよ。」

「いえ、お嬢様の心情自体は昔から読めてました。」

「ねえちょっと待って。」

「ですがお嬢様の婚約破棄の時、置いて行かれたことである意味吹っ切れて、」

「え?今ここで掘り返すの?」

「思いっきり声に出してみようかと。」

「執事として自粛なさい?」

「申し訳ありませんが…」

「そこは断るのね。」


昔から私の心情を読めていたのね。

道理でやれお茶だの、やれドレスだのと、先回りして用意できていたはずだわ。

自粛していた分は褒めるべきなのかしら…

やっぱり止めましょう。褒めるなら王族を敬っていない私を窘めなければ。


「お嬢様は間違っておられませんよ。両陛下もそう思われております。むしろ、もっと怒っても構わないのですよ。」

「だから直ぐ心を読まないで頂戴。」

「申し訳ありませんが…」

「はぁ。もう、せめて城内で声に出すのはやめなさい。家ならともかく。」

「かしこまりました。」


よし。いい返事。


「いい返事ね。ちゃんとしていたら、置いて行っちゃったお詫びも兼ねてボーナスあげるわ。

何が欲しい?」

「精霊界へ戻るときに連れて行ってくださいませんか?」

「物好きなの?仕事好きなの?」

「精霊界のお嬢様の様子が気になりますので。」

「監視なのね。」

「違いますよ。あくまで自分が気になるだけです。」


まさか監視が付いてしまうとは…

精霊界で私どうしていたかしら?マナー違反とか礼儀が悪いとかにはなっていなかったはずなのだけれど、こうなったら不安だわ…。


そうして記憶を思い返しながら歩いていると…

うん。別の道を通ればよかったわね。失敗だわ。


「おやおやこれは。殿下に婚約破棄と国外追放をされた、フィナイース嬢ではございませんか。」


(うち)と対立していた伯爵家、レ―ヴィアン家の当主

エルドルド殿下の傲慢の一角を作った原因のセゼル・ニドル・レ―ヴィアン殿。



殿下の次に会いたくなかったわ。



悪役令嬢の前に悪役が現れた!

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