第89話 フェリシアとアリシア、サトス達と再会する
この話は、フェリシアの視点になります。
「なんか朝より町に人が増えてるね」
「明日からダンジョンが解放になるから、もっと増えるってアステルが言ってたよ」
アステル達と分かれてから、私とアリシアは近くの食事処でご飯を食べながら今日、この後の事を話し合っている。
ティガはお店に入れないので店の入口で待ってもらっている。ちょくちょく入口の方から小さな悲鳴が聞こえるのは気にしないでおこう。
町のあちらこちらでは、まだ建設が続いているけど、もう営業を始めてるお店も少なくない。
特に宿や食事処、それに武具屋や道具屋といった冒険者が利用しそうなお店は競うように営業している。
「何を狩りに行く?」
「どんなのがいるの?」
分かれ際にアステルに貰った地図を見ながらいく場所を考える。
この地図にはどの辺りにどんなモンスターが生息していて、私達が行くにはここは危険だとか、ここなら安全に狩れるとかアステルが細かに書いて渡してくれた。
「この地図みると、8割方危険地帯になってるね……」
「私達が弱いからこうなっちゃってるんだろうけど、とりあえず危険度は考えずに先ずは狩ってみたいモンスター上げていこうよ」
「そうだね。じゃあ、ここのミノタウロスが居る辺りは?」
「ミノタウロスは、2匹以上同時に遭遇したら逃げろって……行くなって言ってるよね? これ……」
「なら、この川の辺りならどう? 鎧魚とかダッシュリザードっていうのが居る見たいだよ」
「鎧魚は狩りっていうより釣りだよね? ダッシュリザードは、そんなに強くないけど臭い唾を吐きかけてくるから気を付けろだって」
「ゴブリンより臭いのかな?」
「どうだろうね。でもあんまり相手はしたくないね」
「うん、そうだね」
「あっ! ここなんかどう? 大鋏岩蟹って蟹が居るみたいだよ」
「蟹かぁ……アタランテで食べた蟹、美味しかったよね……また食べたいねー」
「うん、食べたい」
「じゃあ、ここで決定だね」
「あっ、でもここ赤字で【危険、絶対行っちゃダメ】って書いてるよ?」
「本当だ。どうしようか?」
「うーん……新しい戦闘スタイルにまだ慣れてないし、そんなに危ないなら、止めといた方が良いよね」
私達は最近、短剣を使った近接戦闘スタイルから、弓や魔法を使った遠距離戦闘スタイルに変えた。理由は戦闘適性が、あまり近接戦闘に向いてないから。
2人揃って魔法士タイプに大きく寄っているから近接武器を扱うセンスが低いってエリーが言っていた。
割合でいうと2:8で魔法士向きらしい。
因みにアステルが4:6で魔法士寄り、ルーナが7:3で戦士寄り、エリーは3:7で魔法士寄り、エルフの人達は0.5:9.5で魔法士寄りなんだそうな。
この割合が、魔法士寄りなほど近接戦闘には向かないらしい。
魔法を覚えるのはとても難しくてまだグランセルダンジョンの第1階層のモンスターぐらいにしか使えない。
アステルは水魔法から覚えたらしいけど、私は適性の高い土魔法から、アリシアは風魔法から覚えた。
適性が有る分、私達はアステルが水魔法を習得した期間より、だいぶ早くに使えるようになったけど、ただ使えるのと、使いこなせるのは全く違う。
ちゃんと戦闘に使える程の魔法を放てるようになるには繊細な魔力操作と高いイメージ力が必要。
魔力操作は日々の積み重ねが大切で、イメージの方は自分に合ったイメージ方法を見付けなくては行けない。
アステル達に助言をもらいながら色々試した。
アステルは寝てる時以外は魔力操作の訓練をして、イメージの方は魔法に名前を付ける事で、より深いイメージを得ているらしい。
名前を付ける方法をやってみたけど何となく違うなぁって思ってたらアステルが「精霊の加護が有るんだから精霊に力を借りてるってイメージでやってみたらどうかな?」って、1冊の本を渡してくれた。
本には著者の想像で精霊の姿が描かれ、各精霊の細かな説明が載っていた。
私に加護をくれた土精霊は、山の様に大きなムキムキの巨人や、ゴブリンくらいの身長のお爺ちゃんみたいなのや、手のひらサイズの可愛らしい子供、等々、色んなノームが描かれてた。その中で、手のひらサイズのノームくんが気に入って、この子に力を貸してもらうイメージをする事にした。
アリシアは背中に4枚の羽が生えた肩乗りサイズの女の子の風精霊が気に入ったらしくそれをイメージしてやってみることにしたらしい。
その方法は私達には合っていたようで、まだまだ未熟だけど戦闘に役立つ魔法を使えるようになった。
私の基本武器は杖。状況に応じて短剣も使う。魔法は杖を通して放つと威力も魔力の変換効率も上がるし、杖は打撃武器にもなる。魔法適性的に攻撃力は低いから、私は、戦闘要員というよりはサポート要員。土魔法に高い適性を持っている人は回復魔法の適性も高いらしく、サポート向けなのだそうな。
土魔法で味方を守ったり相手の動きを制限したり出来るから罠師スキルと合わせればかなり使える。
いずれは回復魔法も覚えて、もっとパーティーに貢献出来るように頑張らなきゃ。
アリシアの基本武器は弓。弓は風魔法と相性が良いらしい。近接戦闘になったときは今まで通り短剣を使っている。
風魔法の適性が高い人は雷魔法の適性も高いらしく覚えれば攻撃力がかなり上がる。アリシアは瞬発力の成長率が高いし、捕縛スキルを持っているからフック付きのロープも使ったりして幅広く戦闘がこなせる。
今はまだ雷魔法も索敵スキルは持っていないけど覚えれば今よりもっと戦闘が有利になる。
私は攻撃向けじゃないから、かなり羨ましい、双子なのになんでこんなに能力が違うんだろ?
「あー、食べれないってなると余計に食べたくなるぅ。蟹ぃー」
「我が儘言わないの。別の狩り場考えようよ」
「でーもー」
アリシアは手足をバタバタさせて駄々をこねる。子供か!
「あのぉ、すいません」
そこへお店の店員さんが申し訳なさそうに声を掛けてきた。
「騒がしかったですか? ごめんなさい」
「いえ、違うんです。まことに申し上げ難いのですが、入口の従魔に他のお客様が驚いて逃げちゃうんで、もうそろそろ……」
あ……忘れてた。
「ごめんなさい。直ぐに出ます」
「あはははは……」
私達は慌てて、精算を済ませ店を出た。
店を出て町の正門に向かって歩いていると━━
「おーい、フェリシアちゃん、アリシアちゃん」
━━進行方向から聞き覚えの有る男の人の声が聞こえてきた。
「あっ! メインさん、カレンさん、お久しぶりです。皆さんも新ダンジョン探索で来たんですか?」
前から歩いてくるメインさんとカレンさんの所に駆け寄り握手を交わした。
「お姉ちゃん……サトスさん固まっちゃってるよ?」
サラッとサトスさんをスルーしたらサトスさんは手を上げたポーズのまま固まってた。
「あははは、ナイススルー、フェリシアちゃん」
「2人とも久しぶりね」
「はい、お久しぶりです。ダナンさんもお久しぶり」
「おう、久しぶりアリシアちゃん」
「なんだカレン、お前達の知り合いか?」
カレンさん達と話しているとカレンさんの後ろから黒い鎧を着た青髪のすっごくカッコいい男の人が話し掛けてきた。
「うん、アステル達の新しいパーティーメンバーのフェリシアちゃんとアリシアちゃんよ」
「ああ、前に話してた娘達か」
「フェリシアです」
「アリシアでーす。カレンさん、この男前なお兄さんは誰です?」
「私の兄さんよ。冒険者の先輩でもあるわ」
「カレンの兄のリオンだ。宜しくな」
「「はい、宜しくお願いします」」
カレンさん、こんなにカッコいいお兄さん居たんだ。
このお兄さん、この国で1番冒険者ランクが高い凄い人なんだそうな。カッコいい上に有名人……もう吃驚だよ。
お兄さんのパーティーメンバーさんも紹介してもらったら武器屋とか服屋にある映像魔道具でよく見掛ける有名なモデルさんが居た。
この人も高ランク冒険者で、思わずサイン貰っちゃった。
「ところで……あれは放っておいて良いのか?」
「あれ? あ……」
スルーしたまま声かけ忘れてたら、サトスさんが膝を抱えて静かに涙を流してた。
「ああー、ごめんなさいサトスさん。サトスさんなら軽いのりで笑ってくれると思って……」
この後、ちゃんとフォロー入れて、サトスさんも機嫌を取り戻し、蟹狩りを手伝ってもらいました。
最近、更新が遅くてすいません。
書き始めの頃は勢いで書いてたんですが、最近は色々考えながら書くようにしたので、今くらいのペースでの更新が続くと思います。




