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第45話 エルフ族の狙われる理由

 イルムに到着した僕達。今回の目的は情報収集だ。


 盗賊達から聞き出した情報の古い屋敷は、まず間違いなく人身売買をしている組織の末端。ここで下手に暴れて蜥蜴の尻尾切りになっては元も子もない。


 フェリシアさんとアリシアさんは、イルムの町で屋敷についての噂やそこに住んでいる人についての情報を、人身売買について調べている事は隠して聞き込みをしてもらう。僕、ルーナさん、エリーさんはエリーさんの認識阻害魔法で姿を隠し屋敷の周辺調査に向かう。


 フェリシアさん達と別れイルムの町の西にある森へ向かう途中、僕は少し疑問に思っている事をエリーさんに尋ねてみた。


「モスマンも盗賊達もエルフ族が高く売れるって言ってましたけど、なんでエルフ族が狙われるんですかね?」


「ふむ、なんでかと聞かれて思い当たるのは2つ、まず1つはエルフ族の容姿じゃな、エルフ族には美形の者が多いのじゃ。この国では禁止されておるが、他国の人間族社会では奴隷制度というのは普通にあってのう。同種族、他種族問わず奴隷にされておる。その中でもエルフ族は愛玩用として特に高値で取引されるのじゃ」


 奴隷制度……そんなものが当たり前にある国もあるんだな……僕には受け入れられないよ……


「もう1つは魔核じゃ。エルフの魔力量は我に匹敵するからのう」


「魔核ってなんですか?」


「お主らが魔石と呼んでおる魔道具のエネルギー源になっている石があるじゃろう?」


「はい」


「魔核の入手法はしっておろう?」


「どうやってって、モンスターから……まさか!?」


 魔石は、全ての生物が持っている魔力を作り出し貯蔵する臓器(魔臓)に蓄積された魔力が、生物の死後結晶化して出来る。それを死後、約5分以内に取り出す事で手に入る。


 僕達はモンスターを倒した時に回収して、職人さんが特殊な加工を施して魔道工を使う時のエネルギー源にしている。


「でも、人から魔石を取り出すのは世界条約でも禁止されてます。どんな権力者であろうとそれを破ると死罪は免れません」


「ふむ、世界条例というのがあるのか? じゃが人間族の中で、人というものの線引きは国によって違うのじゃ。その世界条約とやらでとこまで縛れるのかのう?」


 確かに国によって宗教や法律も違うし、国家や世界会議なんかも人間族が作った人間族の為のもの、他種族は条例の制約に入ってないかも知れない。


「でも、この国では他種族に危害を加える事は例外(危害を加えられた時)を除いて許されていません。もし魔石なんかの為にエルフ族が狙らわれているなら、なんとしても止めないと」


「そうだ…ね。でも、まずは落ち着…いて、情報収集からだ…ね」


「そうじゃな。焦りは隙を生み失敗を招くのじゃ。平常心じゃぞ?」


「はい」


 話を終え森に入り、道なりに歩いていると森に入って200m程の所に装飾の様な美しい柵に囲まれた古くも味わい深い外観の屋敷が見えてきた。


 柵の内側にはモンスター避けの結界魔道具らしき物がいくつも設置され、庭はけして綺麗に手入れされているようには見えない、雑草は刈られているけど、木の枝は伸び放題だ。


「柵から変な光が伸びて…る」


「ふむ、どうやら侵入者を感知する結界のようじゃな」


「僕には全く見えませんけど……」


「普通は見えぬようになっておるものじゃ。見えてはすり抜けてくれと言っておるようなものじゃからな」


「お二人は見えてるんですよね?」


「そうじゃな、我から見れば出来の悪い結界じゃからのう。もう少し魔法式を上手く組めば見えぬように出来るのじゃ。それとルーナの眼は特別なのじゃ。大抵の物はみえるじゃろう」


 確かにルーナさんの観察眼スキルに掛かれば罠や隠蔽術なんか意味ないよね。でもエリーさんは観察眼スキルないのに見えるんだよな……


「僕ももっと修行したら見えるようになりますかね?」


「そうじゃな。この程度の結界なら研鑽を深めれば簡単に見えるようになるのじゃ。修行あるのみじゃな」


「…ん、アステル頑張…れ」


「はい」


 僕達は暫く柵の外から屋敷の様子を調べ、イルムの町に戻った。


 モンスター避けと侵入者感知の結界以外に怪しい罠等は無かったけど、人が住んでるわりには静かな感じだった。ルーナさんとエリーさんが感じ取った気配からすると、屋敷には数人人が居るらしい。それと地下からも気配を感じたという事なので、屋敷には地下もあると考えられる。



 イルムの町に戻るとフェリシアさんとアリシアさんが情報収集を終えたのか、町の入口付近で僕達を待っていた。


「お帰りなさい」


「屋敷の方はどうでした?」


「ただいま、やっぱり何かありそうでした」


「お主らの方はどうじゃ? 何か収穫はあったかのう?」


「はい、役に立つかは解らないけど、いくつか聞けましたよ」


 あまり人に聞かれても困るので、宿を取って部屋で話す事にした。


 2部屋借りて、僕とルーナさんが泊まる部屋に集まり、エリーさんの眠れる森スリーピングフォレスト(音響遮断風魔法)で中の声が外に漏れないようにする。


 フェリシアさん達が調べた情報によると、屋敷は3年程前に若い夫婦が買い取り住んでいて、夫婦の他に使用人の女性が2人、護衛らしき男性が2人住んでいるらしく、イルムの町にもたまに食料等を買いにやってくるそうだ。


 それと、30日に1度ぐらい荷物を乗せた馬車が森に入って行くのが見掛けられるらしい。


 普通荷物を運ぶのは収納魔法を使うから、馬車に荷物を乗せる事は珍しい、荷物ではなく生き物が運ばれていると考えられる……


「あと、関係ないかも知れないですけど、夫婦と使用人は暑い時期、寒い時期関係なく首にストールを巻いてるらしいです」


「ストールですか?」


「はい、変と言えば変なんですけど、お金持ちはお洒落で巻くんですかね?」


「ふむ、人間族の服装はよく解らぬがそれはおかしな事なのか?」


「そうですね。僕達一般人は暑い時期に首に何か着ける事はないです。ねぇ、ルーナさん?」


「…ん、私は着けた事ない…よ。邪魔になるから…ね」


 大体の話は終わり、今度は屋敷への侵入方法について話し合う。


 侵入も2チームに分かれる事にした。


 まずルーナさん、フェリシアさん、アリシアさん、ティガが組んで、ティガを狩る冒険者パーティーを装い上手く屋敷の近辺に移動して騒ぎを起こす。


 住人の視線が騒ぎに向いている間に、認識阻害魔法で姿を隠しエリーさんが感知結界に、僕とエリーさんが通れる大きさの穴を開けて庭に侵入。上手く行けば屋敷から人が出てくるだろうからそこから屋敷に侵入。出てこなくても何処かの窓を開けて入れば良い。


 あとは状況に応じて臨機応変に行動。


 話を終え今日は宿で休み、明日の昼前くらいに作戦開始だ。

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