第39話 新パーティー結成
フェリシアさん達が家の賃貸契約を済ませ、早速、家の中に入ってみた。
二人は中も見ずに契約したので、家に入るのはこれが初見だ。
玄関を開けると、奥行き10m、幅5m程のリビングとキッチンが一緒になった部屋があり、その部屋の左側に4m四方の部屋が2つ、右側手前、キッチンの横にトイレ、奥のリビングの横にお風呂があった。
僕の家の半分くらいの大きさだな。
キッチンには、薪式の釜が1つ、その隣に洗い場、水はポンプ式の井戸を使う様だ。お風呂の方も同じくポンプ式給水、薪で沸かすタイプ。
今時、薪釜とポンプ式の井戸……確かに古くて使いにくいかも……築何年なんだろう……?
今、この町で主流なのは、魔道具のボタン1つで水が出る水道、その隣にお湯が出る水道もある。調理をするのはヒートプレートと言うボタン1つで熱くなる板、火が出ないから火事に成りにくい優れものだ。
僕がダンジョンで料理する時にもヒートプレートの小型の物を使っている。
「良い家ですね。凄く大きいし、お風呂まで付いてるし」
「ところでアステルさん、水を汲む井戸はどこまで行けばありますか?」
「え? 水はほら、このポンプを動かせば出ますよ」
「うそっ!? 家で直接水が出せるんですか?」
「しかもこんなに簡単に……」
ポンプ式の井戸に感動して涙ぐむ二人……もう何を見ても泣くんだなこの二人は……
「とりあえず、薪はダンジョンで拾ってくれば良いとして、布団は必須ですね」
「大丈夫ですよ、壁も屋根もあるんですから」
「ダメです。これからもっと寒くなるのに布団くらいは無いと体壊しますよ。それにちゃんと寝てないと、いざという時に体が動かなくなります。冒険者やるなら体調管理は必須ですよ」
「はい、解りました。アステル先生」
ピシッと気をつけの姿勢で返事をするフェリシアさんとアリシアさん。
「せ、先生は勘弁して下さい……」
「「あはははは」」
僕が少し困った顔をすると、顔を見合わせて笑いだす二人。
「じゃあ、買い物に行きますか、布団の他にマジックバックも買っておいた方が良いですし」
「「マジックバック?」」
「はい、収納魔法が使えない人は大抵持ってますよ。容量は収納魔法のDランクより少し少なめですけど、結構便利で価格もお手頃なんです」
あと、バックの口より大きな物は入らないという欠点もあるけど、収納魔法覚えるまでは必須だな。
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僕達は早速、商業区域に足を運んで、先ずは布団を探す。
「お店だらけですね」
「どこに行ったら良いのか迷います」
「僕が案内しますから、心配は無用です」
手頃な値段のお店に二人を案内して、二人が選んだのは、二人一緒に寝ても大丈夫なダブルサイズ、シングルサイズを二つ買うより安いからだ。
調理器具は親方の店が安くて良い品があるから、後で行くとして、今度はマジックバックだな。
布団は僕の収納魔法に入れて、今度はマジックバックを見に行く。
マジックバックは肩から掛けるポーチ型と背中に背負うリュック型があり、ポーチ型はリュック型より容量が少なく、入り口も小さい、一般家庭ならポーチ型で充分なのだけれど、冒険者ならリュック型が良いだろう。
「むむむ、悩みますね」
「ポーチは1つ三千ゼルでリュックは五千ゼル……戦闘中ポーチはブラブラして邪魔になりそうだし……」
二人は真剣に悩んでいる……まあ、現在の所持金を考えると高い買い物だよね。
結局、リュック型を1つ購入した。
いずれは収納魔法を使うようになるから、とりあえず1つあれば困らないだろう。
この日は、僕の家で食事とお風呂を済ませ、翌日ダンジョンでクエストやりながら、薪や食料を集める事にした。
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ダンジョンに入り僕は二人に詫びを入れる
「二人に謝りなければいけないことがあります」
「な、なんですか? 唐突に」
「装備の事なんですけど、やっぱり、昨日手に入れた槍と盾は二人に合ってないので使わない方が良いと思うんです」
オークから手に入れた、鉄の槍と盾、あの後に何度か戦闘をしてみたけど、あきらかに動きが悪くなってた。使いなれていないだけなら良かったのだけど、重すぎて動けないのは問題だ……
「と、いう事で、装備は僕が貸しますから使って下さい」
僕は二人に解体用のダガーと前に使っていた盾と普段使っている盾を渡し、鉄の槍と盾は僕の収納魔法に入れておいた。
「この盾を借りるとアステルさんの無くなりますよね?」
「大丈夫です。この辺りのモンスター相手なら盾が無くても問題無いですから」
今日は第1階層で探索するので、盾が無くても何の問題もないのだ。
先ずはクエスト素材の、エルリーフ、ゴブリンの睾丸、スリンゴの実、辛キノコの採取
エルリーフは下級ポーションの材料に使われる薬草で煎じて飲んだり潰して傷口に着けて置くと怪我や病気の治りが早くなる。
ゴブリンの睾丸は、夜の職業の人やそちらに遊びに行く人に重宝される薬になるらしい。
辛キノコは興奮材の材料になるし、火を通して食べると、寒い今の時期には体が暖まって良い、鍋の材料によく使われる美味しい食材だ。食べ過ぎると夜眠れなくなるのが難点。
二人を連れてスリンゴの木のある場所に移動しながら、途中見つけたゴブリンと戦闘。
数は五匹と少なかったので、僕がスリングショットでフォローしながら、フェリシアさんとアリシアさんで戦闘訓練。
うん、やっぱり二人とも良い動きしてるな。でも、どういう鍛え方したら良いのか、難しいところだよな……ギルドカード見たらどんなスキルがあるのか解るから方向性も決めやすいんだけど……ずっと組む訳でもないのに見せろとも言えないし……
まあ、今は気にせずやれる事をやろう。
続けて、突撃ラット、ジェリー、二人が一番狩りたかったオークと戦い、スリンゴの木に到着。
「じゃあ、この辺でお昼にしますか」
「「はい」」
二人に手伝ってもらいながら、ダンジョンで手軽に出来る料理を作る。
フェリシアさん達が二人だけになっても作れるように今日は焚き火を使って調理。
僕がオークを解体しながらフェリシアさんに解体方法を教え、アリシアさんが焚き火の準備。
火起こしは慣れている様で、簡単に火がついた。
解体もずっと二人で獣を狩っていたお陰か、あまり教えなくてもサクサク解体している。
「お、おいひい」
「幸せですぅ」
今日も泣きながら食事をするフェリシアさんとアリシアさん。
ここまで喜んでもらえると作りがいがあるな……あールーナさんちゃんとご飯食べてるかな……また生肉食べてなけりゃ良いけど……
「やっぱり居…た」
「本当に居ったのう、お主の嗅覚はどうなっておるのじゃ?」
食事をしていると、聞き慣れた声が聞こえてきた……いやいや、まさかそんな筈は……幻聴?
「……って、ルーナさん!?」
声がする方を見てみると、下層を探索している筈のルーナさんとエリーさんが、こちらに走って来ているのが見える。
「ただい…まアステル」
「ただいまなのじゃ」
「おかえりなさい、ルーナさん、エリーさん、僕達がここに居るの、よく解りましたね」
「…ん、アステルのご飯の匂いがし…た」
いやいや、そんな筈はないだろう、ここから奈落の谷までどれだけ離れていると……
「我には全く匂わなかったのじゃが、ルーナが走り出してのう」
うわぁ、本当に匂ったんだ……凄いな……でも嬉しいな、ルーナさんの愛情を感じる。
「直ぐにお二人の分も用意しますから少しだけ待ってて下さいね。あ、待ってるあいだに良ければ僕の分を食べてて下さい」
「…ん、ありが…と」
早速二人の分の調理を始める。
「あ、あの、アステルさん? こちらのお二人は?」
フェリシアさんとアリシアさんが少しおどおどしながら尋ねてきた。
「あっ、紹介してませんでしたね。僕の仲間……と言うか、家族のルーナさんとエリーさんです」
「宜し…く」
「先日の二人か、無事で良かったのう。我はエリアス・アッシャス・シャマイセレーネ・メテオールコスモじゃ。エリーと呼ぶが良い」
エリーさんの初見殺しの長い名前、やっぱりフェリシアさん達も覚えられなかった様だ。僕とルーナさん、うちの家族はもう覚えたけど……やっぱり長いよね?
僕が調理をしている間に、女性陣の会話は盛り上がり、四人ともすっかり打ち解けた様だ。
「お主ら、我らの仲間にならぬか?」
「…ん、良い考…え」
「我ら二人が居らぬ時、アステル一人にしておくのも心配じゃからのう」
「嫌じゃなかった…ら、組ん…で」
「良いんですか?」
「そうしてもらえるなら、こちらからお願いしたいです」
僕が賛成する前に、すっかり話が纏まった様だ……まあ、ルーナさん達が良いなら僕は賛成だけどね。
僕達の新しい仲間が出来、この日は家で歓迎会……と言うか、いつもの食事なのだけど、改めて家族にも紹介し、フェリシアさん達はご近所さんなのにエリーさんの部屋に泊まった。




