第38話 言わない方が良い事
今回はルーナさん視点です。
今日はアステルと別行動、アステルにはエリーがストレスを解消させるために大暴れしたいからと、説明してあるけど実は違う。
今日の目的は以前エリーと一緒に38階層に探索に来てた時に見つけたモンスターが寄り付かない大きな部屋。その部屋の壁に書かれている文字、私には変わった模様の壁にしか見えなかったのだけれど、エリーが言うには神世文字と言うエリーが生まれるより、ずっと昔の文字が書かれてるらしい。
エリーはそれを見つけた時に、私と戦った時の様なワクワクした楽しそうな顔になった。これを見つけてからエリーはダンジョンに入らない日は、いつもギルドの図書館で色んな難しい本や、開示されている冒険者のダンジョン探索記録を読み漁っている。
「今日もあの部屋に行…く?」
「そうじゃな。ルーナも一緒に調べぬか?」
「私は、あまり難しい事やる…と、眠くなるか…らいい」
私は難しい本を読んだり調べたりするより、仕事をしている方が合っているから、部屋の辺りでエリーとは別行動。
「じゃ、頼まれた物集め…たら迎えに来る…ね」
「うむ、気を付けて行くのじゃ」
この階層くらいならエリー1人でも平気なので、一緒に来る必要は無いのだけど、一人でダンジョンに入るのは寂しいから、エリー1人にはしたくない。早く仕事終わらせて戻って来よ。
今回の仕事はミスリルゴーレムの素材、それとオリハルコンゴーレムの素材、オリハルコンゴーレムは滅多に居ないので無理に集めなくても良いらしい。
ミスリルゴーレム。全身がミスリル鉱石で出来たモンスター。スライム族同様に核を攻撃しない限り無限に再生をし、魔法金属ミスリルの鉱石から出来ている為に魔法攻撃がほぼ効かない。それどころか反射させてくる場合も多々ある。その素材は結界や魔道具を作成する時の必需品なので高値で取引されている。
オリハルコンゴーレム。全身がオリハルコン鉱石で出来ているモンスター。特徴はミスリルゴーレムと同じだが、ミスリルゴーレムより固く、物理的な攻撃も効きにくい。その素材は神の金属とも呼ばれ、聖なる力が宿っていると言われている。聖剣、神剣、聖衣、聖鎧、神具、等の素材には、大抵、オリハルコンが使われている。オリハルコンゴーレムに遭遇する確率はとても低く、ミスリルゴーレムに遭遇する千分の1%とも言われている。
ミスリルゴーレムやオリハルコンゴーレムが出るのは40階層より下層、このダンジョンは40階層から急にモンスターが強くなるからちょっと面倒……
私は、39階層の階層ボスが居た部屋で、1度休憩を入れてアステル特製弁当を食べる。
今日は、いつもは着けない兜と魔法を防げるマントを装備する。視界が狭くなるし、パタパタと邪魔だからあまり着けたくないのだけれど、この先は怪我するかも知れないから仕方ない……早く終わらせてエリーの所に帰ろう。
40階層に入って暫くすると、エビルレイスを発見。
エビルレイスは物理攻撃が効きにくいし魔法を沢山使ってくるから苦手だったけど、エリーに教わった水魔法と土魔法があるから今は楽に倒せそう。
私はエビルレイスに先制攻撃を仕掛ける。斧の攻撃はやっばり空気を切る感じで手応えがない。エビルレイスが雷魔法で攻撃してきた。それを水魔法で作った壁で受け止めて、相手の魔法ごと、打ち返して、水の刃に変化させてエビルレイスを切り刻んで戦闘終了。
「…ん、魔法はとて…も便利」
四時間ほど、邪魔なモンスターを倒しながら40階層を探索していると、三体のミスリルゴーレムを発見。
一気に掛けよって全力で斧を叩き付ける。
「…むぅ、硬…い」
あまり硬い物を切ると斧が痛むので作戦変更。私は、ミスリルゴーレム一体の足を掴んで振り回して、他のミスリルゴーレムに叩き付ける。
二体のミスリルゴーレムが砕けた。砕けた側からミスリルゴーレムは再生を始める。
「させな…い」
破片の中から核を見つけて斧で叩き割ると、ミスリルゴーレムの再生が止まる。一体は残ってしまったけど、斧が痛むのを覚悟で叩き壊す。
せっかく直したとこなのにちょっと斧が傷んだ。でも今回は結構早くミスリルゴーレムが見つけれたから良いか、早く帰ってご飯にしよ。
ミスリルゴーレムの素材を袋に詰めて収納魔法にしまう。オリハルコンゴーレムは……今回は探さなくて良いかな……硬いし、時間掛かるし……
来た道を戻っていると……いつもなら滅多に出会わないのに、戻っている先にオリハルコンゴーレムが歩いてるのを見つけた。
むぅ、見てしまったからには倒さない訳にはいかない……仕事だから。
早く帰ってご飯食べたいのに……
ミスリルゴーレムと違ってオリハルコンゴーレムは中々倒せない。硬いし再生も早いから……
あっ、ずっと使うの忘れてたけど、今回は斧に魔力を纏わせて、魔力撃を使おう。今思い出したけど、オーガキングの時も使うの忘れてた……使ってたらもっと早く倒せてたのかな?
私が斧に魔力を集中させると、斧が光った。
沢山集めすぎたのかな?
とりあえず気にせず、そのままオリハルコンゴーレムに叩き付ける。
「…おぉ、簡単に切れ…た」
オリハルコンゴーレムがその辺の岩ぐらい簡単に切れる。魔力撃も、とても便利。
サクサクとオリハルコンゴーレムを切り刻んで核を探す。直ぐに見付かったので目標達成、これで帰れる。
素材を袋に詰めて収納魔法にしまって、エリーの居る部屋に戻った。
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「エリー、ただい…ま」
私が声を掛けてもエリーが気付いてくれない……壁に向かって立って、ぶつぶつ言っている。仕方ないのでエリーの腰元に抱き付いてもう一度声を掛けてみる。
「エリー、ただい…ま」
「おお、ルーナ戻ったのか、早かったのう」
「どうだっ…た?」
「そうじゃのう。あまり大した事は書かれておらぬ様じゃが、今のところは何とも言えぬのじゃ。まだ解読出来ておらぬ部分も在るゆえ、もう少し調べてみるかのう。まあ、急ぐ事でも無いし、ゆっくり調べるのじゃ」
「アステルや他の人に…は、まだ内緒にしとく…の?」
「うむ、アステルぐらいには言っても良いのじゃが、あまり人には広めぬ方が良いと思うのじゃ。まだ誰も神世文字については気付いておらぬようじゃし、古代の文明など知らぬ方が良い場合が多いからのう」
「…ん、じゃあ、黙っとく…ね」
前に聞いた時も同じ様な事をエリーは言っていた。知らない方が良い事……ずっと昔、まだこの世に魔法や魔力が無かった昔、この世界は1度滅んだらしい。
その後に、神様が作り直した今の世界が私達が居る魔法の世界だと、なんでそんな事を知っているのかは、聞いても教えてもらえなかった。言いたくない事を聞くのはダメだし難しい話は眠くなるから聞かなくて良いや。
難しい事はよく解らないけど、アステルやエリー、それにアステルの家族や仲良くなった人達に何か起こるのは嫌だから、頭の良いエリーが教えない方が良いと言うのなら黙っとく事にする。
ここ2日でアステルやユミリアの用意してくれたご飯も残り少ないし、早く家に帰ろ。




