第28話 オーガ討伐クエスト 前編
ルーナさんの視点になります。
私は今、ギルドの仕事で、スターリット山脈に向かっている。
今回の仕事はオーガの殲滅、今確認されてるだけで100以上は居るらしい。まだ視認はされていないけど、たぶんオーガキングも居るだろうという話。
少しの間だけど、アステルと離れるのはちょっと嫌、アステルは慎重過ぎるくらい慎重だから、死んだりする心配は要らないと思うけど、暫くアステルのご飯が食べられないのは辛い……オーガキング許すまじ。
私がエリーの背中に乗ってグランセルから出発して数分、向ってる先に馬を走らせてる四人組を発見。
「エリー、あそこにリオン達が居…る」
「ん? どれじゃ? ……お主は目が良いのう」
エリーもリオン達に気が付いて側に寄って行った。
「リオン、久しぶ…り」
「酒盛り以来じゃのう」
私達が声を掛けると、驚いた馬がリオン達を振り落として何処かへ行ってしまった。リオン達は上手く飛び降りて無事だったけど、馬が走っていった方を向いて、ボーッとしてる。
「驚かして、ごめんなさ…い」
「すまぬのじゃ。まさか逃げるとは思わなんだ……目的地まで乗せて行くから勘弁してほしいのじゃ」
「……まあ逃げちまったもんはしょうがねぇな。とりあえずキリマ村まで連れていってくれると助かる」
「ならば我等の目的地と同じじゃな」
「お前達もオーガ討伐のクエストを受けてるのか」
「…ん、早く終わら…せて、早く帰…る」
「俺達もそうしたいんだが、数次第だな。今回のクエストはオーガの殲滅だ。逃がさず倒すとなるとキングは最後に倒さなけりゃいけない、普通のオーガ100程度ならこの6人でやれるだろうけど、今回はマージも居るようだし数も確認されているだけで100以上、ちょっと厳しいだろうな」
確かに、あまり多いのは面倒……でも他のメンバー待ってたらアステルの用意してくれたお弁当とお菓子がもたない……
「ここであれこれ言ってもしょうがないであろう? 先ずは行って確認するのじゃ」
「そうだな、エリーの言う通りだ」
「…ん、じゃあ、早く乗…る」
リオン達を乗せてキリマ村に向かって出発。飛び始めて暫くすると、リオンが真っ青になって、下を向いてる。
「リオン、調子悪…い?」
「大丈夫だよ、ルーナちゃん。リオンは高い所が苦手なだけだから」
「……む、意外な弱点だ…ね」
「こんなに気持ち良いのに勿体ないよね」
「でも、怯えるリオンを見るのも中々可愛くて良いもんっしょ」
可愛くはないと思うけれど……リイナの感性は理解不能。
「なんじゃ、怖いなら早く言えば良かろう? 少し高度を下げてやるのじゃ」
エリーが地面に近い位置まで下がってしまった。景色を楽しめないのはちょっと残念……でもこれはこれで楽しい。
「これで大丈夫かのう?」
「ああ、この高さなら問題無い、ありがとな」
「本当にー? 本当に問題無い?」
「バカ! 止めろ! 落ちるだろ!」
クリュスに揺らされて必死にエリーにしがみつくリオンはちょっと面白い、やっぱり怖いのかな?
クリュス、リイナ、クレアがリオンで遊んでる間にキリマ村に到着、さあ、早く終わらせて帰るよ。
「早く着きすぎたな。他のメンバーが来るまで、まだ5日くらい掛かるぞ」
「じゃあ、先に始め…る」
「待て待て、焦り過ぎだぞ……先に状況の確認からだ。やれそうならやっても良いが、危険なようなら他のメンバーを待つぞ」
「…ん、仕方な…い」
私達は、走って、報告のあったオーガの集まってる所に移動を始めた。本当はエリーに乗せてもらえば早いのだけど、見つかったら危ないと、リオンに止められてしまった。
一時間くらい走って、目的地に到着。岩影から見ると、報告の通り視認出来るだけで100は居る。
「ここからじゃ全体は掴めないな」
「ならば我が確認してきてやるのじゃ」
「どうやって確認するんだ?」
「空から見れば一発なのじゃ」
「見つかったら危ないぞ」
「大丈夫じゃ、元の姿なら見つかるかも知れぬが、人の姿なら認識阻害魔法で隠せるからのう」
「認識阻害魔法? なんだそれ?」
「そう言う魔法があるのじゃ。では行ってくるのじゃ」
エリーが飛んで行ったので、待ってる間に私はアステル特製のお菓子を食べる事にした。
「おまっ! この状況でおやつタイムとか……どんだけ余裕なんだよ……ここ、敵陣真っ只中だぞ?」
「…ん、美味し…い、皆も食べる?」
「クスクスッ、ルーナちゃん見てたら緊張解れるわぁ。私にも頂戴」
「私も私も」
「…ん」
やっぱりアステルのお菓子は大人気、心が落ち着く。リオンは相変わらず硬い顔してお菓子を食べようとしないけど、欲しがらない人にはあげない。
私達が美味しくお菓子を食べてると、戻ってくるエリーが見えた。
「お帰りエリー、お菓子食べ…る?」
「ただいまなのじゃ。有り難く頂くのじゃ」
「うおっ! 今何処から出てきた?」
「普通に飛んで来た…よ」
「相変わらず目が良いのう。エルフ程では無いとは言え、認識阻害を見破られるのはちょっとショックなのじゃ」
「私達には判らなかったよぉ」
「うん、全く見えなかったっしょ」
「そうだね、ルーナちゃんが特別なんだよ」
「お前ら……敵陣真っ只中でその女子会みたいな緩さは止めろ……それで? どうだった?」
「うむ、見た限りでは500は居ったのじゃ」
「500? かなり多いな、その中に大きさが他の倍くらいの個体は居なかったか?」
「二体居たのじゃ、青黒いのと赤黒いのが」
「クイーンまで居やがるのか……面倒だな。やっぱり他のメンバーが集まるのを待った方が良いな。皆戻るぞ」
待ちたくない……でもリオン達に怪我されるのは嫌だし、しょうがないから言う事聞く……
はぁ……アステルのお弁当とお菓子、後何日もつかな?




