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第27話 再編成

 食事が終わり、あまり放っておくと本当に死んでしまうかもなので、サトスさん達を湖から引き上げ、メインさんとカレンさんの長いお説教が続いてる中。


 僕の意識にティガからの『いい加減外に出してほしいのだ』と言うメッセージが伝わってきた。


 しまった……部屋魔法(ルーム)に入れっぱなしだったな……


 僕は、直ぐにルームを開きティガを外に出してやった。


「ガウッ!」


「うぐっ! ごめんティガ、すっかり忘れてた……ご飯食べる?」


「ガウッ」


 ルームから出てきたティガは僕に一言文句を言って脇腹に一撃肉球パンチを入れてきた。結構ご立腹だった様だ。でも、ご飯で機嫌が直るところが可愛い奴だな。


「何? その子、可愛い」


「あれ? ひょっとしてティガ? 大きくなったわね」


 ティガを見てメインさんとカレンさんが、お説教を止めてティガの元へやって来る。


「猫か? それにしちゃ大きいな」


「何で猫がここに?」


 サトスさんとダナンさんも寄ってくる。


「猫じゃないですよ、ライオネルってモンスターです。前にアタランテに行った時に従魔契約したんですよ」


「ライオネル!?」


「マジで?」


「ライオネルってもっと大きいよな?」


「まだ、子供なんです。もう一年弱で皆が思ってる大きさになります」


 出てきたとたん、すっかり人気者になったティガ。メインさんとカレンさんに撫でられまくって、気持ち良さそうにしている。


 ティガのお陰で和やかな雰囲気を取り戻し、落ち着いたのを見計らって、僕は皆に1つの提案をした。


「皆さん、明日、下の階層に下りるの止めて一旦町に戻りませんか?」


「どうしたんだ? 急に」


「ここまでの戦闘を見て、今のまま下の階層にチャレンジするのは、危険だと思ったんです」


「どういう事?」


「このパーティーってバランスが悪いんです。五人の内、四人が前衛タイプで後衛が1人しかいませんよね? 今は僕が少し下がって中間距離から援護に回ってますけど、下の階層に行くほどモンスターも強くなりますし、もたなくなると思うんです」


「確かに……それもそうね」


「それとメインさん」


「何?」


「メインさんは遠距離物理攻撃が使えませんよね? これだと魔法が効かないモンスターに遭遇した時、かなり不利になります。あとカレンさん」


「私も?」


「カレンさんは逆に魔法が一切使えませんよね? この先には物理攻撃の効かないモンスターも居ます。初級の魔法でも使えないと、四人でカレンさんを守りながら戦わないといけなくなるんです」


「うっ……私が足手まといになるなんて……」


「まあ、魔法無しでも、やりようはあるんですけど……」


「本当に? どうやるの?」


「魔力撃って、物理と魔法の中間みたいな技があるんです」


「魔力撃? 聞いた事ないわね」


「僕も最近知った技です。前に会ったエリーさんって覚えてますか?」


「うん、あの黒髪の竜だって人よね?」


「はい、そのエリーさんが教えてくれた技なんです。たぶん人間で知ってる人は、他に居ないと思います」


「アステルは使えるの?」


「はい、つい先日覚えました」


「ちょっとやって見せてよ」


「じゃあ、あそこの木を相手にやりますね。サトスさんかダナンさん、あの木をおもいっきり蹴ってみてもらえますか?」


「俺がやろう」


 ダナンさんが立ち上がって、僕が指定した大木を蹴る。蹴りの衝撃で軽く枝が揺れる


「今のが普通に蹴った場合です。パワーのあるダナンさんがおもいっきり蹴っても枝が揺れる程度ですよね? これを僕が普通に蹴っても、あれほど枝は揺れないと思います。だけど魔力撃なら━━」


 僕は大木に近寄り、足に魔力を集める。蹴り足の割合を少し多目にして、大木に蹴り込むと、大木は蹴った場所が陥没して、陥没痕からメキメキ音を立てて折れた。


「これが魔力撃です。物理の威力も上がるし、物理攻撃の効かないモンスターにもダメージを与えられます」


 僕が説明しながら皆の所へ戻ると、四人はポカンと口を開け呆けていた。


 ふふふ、驚いてる驚いてる。最近この訓練を中心にやってたからな……実はちょっと張り切りすぎて無理して蹴ったから、足が痺れてるのは内緒にしておこう……


「何? 今の……」


「普通に蹴った様にしか見えなかったけど……」


「アステル、説明してくれ」


 僕は、エリーさんに教わった魔力操作の話をした。


「昔は皆出来てたらしいんですけどね。今の魔法習得法が出来てから、人間の間では忘れられたみたいです」


「私にも出来るのよね?」


「はい、訓練すれば誰でも出来るって、エリーさんが言ってました」


「じゃあ、教えて」


「俺も俺も」


「私にも」


「頼むアステル」


「まだ中途半端な知識しかない僕が教えるより、エリーさんが戻って来るのを待って、エリーさんに教わった方が良いと思いますよ。生兵法は大怪我の元って言いますし、今は一度町に戻って陣形を練り直す所から考えましょう」


 一度睡眠を取り、町へ向けて戻りながら陣形について話し合う。


「前衛を二人にするとして、先ずは誰を残すかだな……」


「カレンさんの剣技はかなりのものですし、外せないですよね?」


「なら、俺かダナンだな」


「だったら俺が前衛の方が良いだろう、剛体がある分、惹き付け役には向いている」


「なら俺が中間でサポートか……サポートってやった事ないんだけど、どうやるんだ?」


「そうですね。僕は全体を見ながら手薄な所を補助する様に心掛けてます。あとは後衛のメインさんの後ろからモンスターが出てこないか注意してますね」


「私もそうね。離れすぎず、なるだけ前で戦って、あんた達が不意を突かれない様に気を付けてるわ」


「あとは、中衛を二人にするか後衛を二人にするかだな」


「出来れば後衛二人の方がやり易いですよね」


「って事は俺が後衛?」


「いえ、サトスさんは中衛やった方が良いと思います。普段はダナンさん、メインさんと三人で組んでる訳ですし、中間から全体を見れる様になった方が何かと安全ですから」


「ならアステルが後衛に回るって事?」


「そうなりますね。遠距離武器使えるかな? ……まあ、練習次第ですよね」


 とりあえずの陣形も決まり、町に戻った僕達は武具屋に足を運んだ。


 遠距離武器を探してみると、この武具屋には〈ブーメラン、投擲ナイフ、スリングショット、弓、クロスボウ〉が置いてあった。


 僕は扱いやすく、弾が切れても石などで代用出来るスリングショットを、メインさんは弓より飛距離は少し落ちるけど、使いやすそうなクロスボウを選んだ


「結構簡単そうな造りの武器なのに値が張りますね……」


「アステルのはまだ良いわよ。私のクロスボウなんて、五万ゼルよ、五万ゼル」


 僕のスリングショットは一万ゼル、クロスボウに比べると安いけど、今後弾を買う事を考えるとちょっとキツいかも……まあ、それはクロスボウも同じか……


 武器を買い終え、僕達はダンジョンに戻った。

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