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第19話 ダンジョン都市アタランテ

 あの後、神剣ヴァーリをルーナさんとエリーさんに見てもらった、ルーナさんやエリーさんが魔力を送っても反応がない、この二人が魔力不足何て事は絶対にあり得ない、何か別の要因で性能が発動しないのだろう。


 エリーさんが武器の中には極稀に自分の主を選ぶタイプの武器があり、神剣ヴァーリはそう言うタイプだろうと言っていた。


 一度発動したのは、恐らく僕に所有者の適正があるからで、その後発動しないのは僕自身の未熟さ故の事だろうと……


 この新しい相棒との出会いは運命的なものを感じる。相手が武器とは言え選ばれるのは嬉しいものだ。



 斡旋クエストから数日の休息を経て、今日は前から一度来てみたかった、グランセルから東へ400kmほど離れたダンジョン都市アタランテの町に来ていた、エリーさんにここまで連れてきてもらい、エリーさんはこの近くに住んでいると言う旧友に会いに行くと、何処かへ行ってしまったから、今日は久しぶりにルーナさんと二人で冒険だ。


 アタランテのダンジョンが発現したのは凡そ10年前。その頃から町の都市化が進み、今ではグランセルに並ぶ大都市になっている。ダンジョン難易度はグランセルより高く、第1階層からグランセルの10階層クラスのモンスターが生息している。


 現在の攻略階層は22階層、その先への下り口、階層ボスは見つかっておらず。各階層の探索状況もグランセルの半分以下で、新発見素材や装備などを求める、中堅以上の冒険者に人気のダンジョンだ。



「うわぁ、アタランテって初めて来ましたけど綺麗な町ですね、ルーナさんは来たことあるんですか?」


「…ん、何回かある…よ」


「あれ? ルーナじゃないか!? 久しぶりだな」


 僕達の後ろからルーナさんを呼ぶ声が聞こえる。


 何か前にもあったなこんな事……僕はあの嫌な出来事を思い出しながら振り返ってみた。


 そこに居たのは全身漆黒の鎧に身を包んだ濃い青色の髪の男性。


「覚えてるか? リオンだ」


「……?」


 僕はこの人を知ってる。いや冒険者なら知らない訳がない、昇格率0,05%とも言われる金剛鉄(アダマンタイト)ランク冒険者。その甘いマスクと強さから【黒の貴公子、漆黒の剣聖、青の種馬】等の2つ名を持つ、リオン・アルアザルドさんだ。



「あの有名なリオンさん!? ルーナさんお知り合いだったんですか?」


 あれ? なんかルーナさんの反応が薄いぞ? 知らない?覚えてない?どっちだろう?


「ははは、覚えてないか、一緒にクエストやったのは2回だけだしな」


「……あぁ、思い出し…た」


「思い出したか、相変わらず無表情だな。元気にしてたか?」


「…ん」


 何かやたらと気さくな人だな、でも噂が本当なら僕がルーナさんを守らないと……


 僕はリオンさんの顔をじーと見つめる。


「なんだ坊主、俺の顔に何かついてるか?」


「い、いえ別に……」


「お前ルーナの新しい仲間か? ランクは?」


「はい、アステル・シュトラールと言います、ランクは青銅です」


「青銅……ね。お前本当に仲間として組んでるんだよな? ルーナを利用してるだけだったら━━」


「勿論です! そんな奴は僕が張り倒します!」


「アステルは仲間だ…よ」


「はははは、張り倒すか。そいつは良い、ルーナも良い仲間見つけたな。いや、すまなかった」


「いえ、とんでもありません」


 おお! 何だかこの人好感が持てるぞ? 前に会ったグウェンとは大違いだ。


「ルーナにもちゃんと仲間って呼べる奴が出来たんだな。良かったよ」


「リオンさんはルーナさんの事を心配してくれてるみたいですけど、パーティーに誘ったりはしなかったんですか?」


「そうだな、前にクエストやった時に誘おうと思ったんだが、こいつモンスターの肉を、生のまま食うだろ? 俺以外のメンバーが気持ち悪がってな……誘えなかった」


 なるほど、確かにあれには僕も驚いた。


「そうですか、でも良かったです。お陰で僕が一緒に組める事になりましたから」


「ははは言うねぇ、気に入った。ここへはダンジョン探索に来たのか?」


「はい、そのつもりです」


「そうか、ルーナ、お前達が良ければで良いんだが、一緒にダンジョンに入らないか?」


「アステルが良いな…ら」


「僕もルーナさんが良いなら喜んで」


「…ん、じゃあ良い…よ」


「よし! 決まりだ」


 僕達はリオンさんに連れられてギルドに向かった。


 ギルドまでの道中、リオンさんは数m毎に女の人に声を掛けられ、慣れた感じて気さくに返事をしながら止まること無く歩いている。


 器用だな、何であれで止まらず歩けるんだろ?


「リオン! 遅いよ!」


 ギルドに入ると、四人グループの内の一人がリオンさんに声を掛けてきた。


 あれ? あの人ってクリュス・ルウヴィーンさんだよな?


 クリュス・ルウヴィーンさんは白銀ランク冒険者でその燃える様な赤い髪と美しさ火魔法を主に使うことから【炎髪の妖精、爆炎の戦乙女、灼熱の女神】等の2つ名を持ち、モデルとしても活躍しているある意味リオンさんより有名人だ 。


「悪い悪い、ちょっと旧友に会ってな、今日はこいつらも一緒にダンジョンに入る事になった」


「げっ! ブラッドイータールーナ!」


 げっ! とか失礼だろ!? ちょっと美人だからって……


「すまん、クリュスも悪気はないんだ許してやってくれ」


「アステル気にしなくて良い…よ」


 しまった、顔に出ちゃってたよ……


「あ、いえ、すいません気を使わせてしまって」


「ルーナ、アステル、紹介するよ、こいつらが俺の仲間のクリュス、クレア、リイナそしてこいつが俺の妹のカレンだ」


 紹介された四人はクリュスさん白銀ランク、クレアさん金ランク、リイナさん金ランク、そしてカレンさんが鉄ランクだ、凄いパーティーだな、カレンさんを除けばこの国の冒険者パーティーでも最強クラスかも知れない。


 僕は順番に握手をして、カレンさんとも握手をしようとしたら━━


「グウェン倒したくらいで、いい気にならないでよね」


 ━━と、言って手を叩かれた。


「こら! カレン、そんな態度とっちゃダメだろ?」


「ふんっ!」


 初めて会ったはずだけど何故か嫌われてる? うーん人に恨み買うようなことはしてないと思うんだけどな……


「すまんなアステル、ちょっと気が強いが悪い奴じゃないんだ許してやってくれ」


「良いんですよ。僕を知ってくれてるだけで光栄です」


 まあ、何か誤解があるなら道々解けば良いや。

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