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追慕
もう冷えた鉄柵の向こう――澱んだ虹縞の間から女が舞うのを見つめていた。
「次々と散っていく」と、男は肌に寒さを感じた。
抱き込むと調度よさそうに華奢な腰はその真新しい学生服が溢れんばかりの若々しさをきつく徒に縛っているようであったし、かえってそこから地からの萌芽が見え隠れする。命としての役目を終えた者が下へ散りゆく中、彼女を鼓舞するように花弁が舞い落ちる。
その桜の根には寂寞な墓地があり、そこだけが暗く吹き込んでいる。ケシの花に囲まれて雪は薄く降り積もる。教会の陰になるためつもりとけきらず、男は悩みぬいた。
眠れぬ愚者の夢、飢える超人の望み――布が巻かれそれは発露する。そうして、そんな夢中にいながら訪れる者を見て溜息をつくのであった。
地を這う日見ずが囁いた。
「冬は去り、春は訪れた。別離ではなく「出会い」である。
冬は訪れ、春はいずこへ。「出会い」としての別離である。」
房が一つ丸ごと中間を舞った折、男が「やあ」と声をかけた。
女は頭の雪を払った後、少し悩ましげな笑みを浮かべた。




