第九話 錬金スタート
部屋に戻ると薬草をストレージに入れた。実際の錬金となると錬金釜などの道具が要ると思うけど、いつものウインドウに錬金ボタンが追加されていた。
ほんとにゲームみたい。
ワクワクしながら、氷花水と薬草を選び錬金ボタンを押す。
ピココーン!
軽快な音ともにアイテムの出来上がりが知らされた。恐る恐るストレージから取り出してみる。無色透明。水にしか見えない。鑑定してみると、確かに中級ポーションだった。
「なんか……水みたいだし、味気ないというか、つまんないな」
他に何かないかな? 本当にただの思いつきだった。この赤くてたくさん持っている火喰花ってなんだろう。フリー錬金ってのもあるけど。ポチッ!
ピコココーン!
何か赤い液体ができた! 中級ポーション(赤)ってなんだろう。取り出して鑑定してみる。透明なの赤色の液体だった。
味見をしてみたらやっぱり水。でも見た目はなんていうかカラフルな色水で、駄菓子屋で売っていた原色のジュースを思い出す。
「ジュースなら甘みがいるよね!」
そうよ、甘みよ。はちみつか砂糖はないかしら。リストを順に見ていく。
あった! ハチミツ! あの蜂型の魔物からドロップしたものだ、たぶん。雑にしまっているから覚えていないけど。
今度はハチミツを加えて錬金すると中級ポーション改(赤)というのが出来た。
「うん、いい感じ」
面白くなって、青と緑のポーションと、ハチミツを使ったアメを作って、ストレージに仕舞った。
翌日は少し背伸びをしてB級ダンジョンに行くことにした。C級のボスは倒したしね。こちらは、あふれている魔物はいなかった。冒険者が多く訪れるのかもしれない。
低階層は人も魔物も少なかったので1体ずつ聖魔法で倒し、魔石とドロップ品を回収して進む。そうして進んだダンジョンの5階層で、大きな狼に囲まれた3人のパーティーを見かけた。
「ホーリーシャワー!」
聖魔法の範囲攻撃で一気に片付け、駆け寄って安否を確かめる。
「大丈夫ですか?」
「あ……あぁ。助かった」
「ありがとうございます! もう駄目かと思いました」
見ると3人はズダボロで、傷を負っていた。その時、ひらめいたというか魔が差した。
「怪我も酷いし、良かったらこれ飲んでみてください。ポーションの試作品ですけど不味くはないです」
「え……でも」
それぞれに赤、青、緑のドリンクを渡す。ギョッとして躊躇しているのが見て取れたけれど、さすがに命の恩人からの贈り物は無下にできないんだろう。おずおずと飲み始めた。
「……甘くておいしい!」
「えっ! なにこれ!?」
「傷が……!」
あ、やっぱりポーションはポーションだったんだ。ただの色水ではなかったわね。わかってはいたけど、ほっと胸をなでおろした。
3人は感謝してくれると同時に代金を払いたいと言ったけれど、初めて人に飲んでもらった試作品なので断った。そもそも適正価格がわからない。
「こういうのってダンジョンで売ったら需要あるかな?」
3人が力いっぱい頷いていたので、他にもなんか作ろうと思った。
「そうだ! 街だとお店を開いたり、場所代がいると思うけど、ダンジョンはそういうのないの?」
3人は顔を見合わせて考えているようだった。
「そもそもダンジョンで何かを売っている人を見たことがないよ、危ないし」
「たぶんだけど、許可が要るならギルドに相談?」
「そうなんだ!」
お礼を言い合って、地上に戻り、せめてと言われたので昼食をご馳走になった。冒険者がよく立ち寄るらしい店は、とても賑やかだったけれど、肉もエールも美味しかった。
銀星亭も美味しいけれど、たまには昼からお酒のある店もいいなぁとほろ酔いになるのだった。
そしてそのまま皆でギルドへ。3人も戦利品を売りに行くとのことだった。
「こんにちは、ミコさん。パーティーを組むことにしたんですか?」
いつものようにトビアスさんに声をかけられる。
「いえ、今日はたまたまなんですけど、ガリアーノさんはいますか? 相談したいことがあるんです」
再度お礼を言ってくれた3人と別れ、トビアスさんに応接室に通してもらった。
「今日もダンジョンに行かれたのですか」
「はい。B級に行ってきました」
「買い取りのものがあれば出しておいてください。ギルド長が来れるか確認してきます」
今日の収穫は少ないんだよなと思いながら、魔石を取り出していく。それから、キラキラしている輝光石というのも出してみた。
「おまたせしました。ミコさん」
「急にすみません」
「在席してるときで良かったよ。それは、輝光石? 随分珍しいものを引き当てたんだね」




