第七話 新しいスキル
昨夜、寝落ちのように早く寝たせいか、今朝も早く起きることができた。
「さて、今日もダンジョンに行ってみますか」
生活費を稼いでいかないといけない。治癒魔法で治療師みたいなことをする手もあるけど、それはなんだか聖女っぽいしワクワクしない。冒険者の方が性に合ってる気がした。
昨日、8階層まで行ったからそこまで飛べるかな。そうは思ったけれど、途中から始める転移陣らしきものは見当たらなかった。帰れるのに行けないのね。
「軽食を持ってきたのは正解ね」
荷物を思い浮かべながら、また1階層から進んでいく。昨日よりは魔物も少なく最初は順調だ。
そういえば聖魔法を使ったと言ってしまったけれど、治癒魔法が希少なら聖魔法も希少では? 違うものも試そう。
「フレイムシャワー」
火魔法でも焦げて消滅するわね。っていうか洞窟が暑くなるから、やめておこう。匂いもなんか嫌。
そうして結局、聖魔法のゴリ押しで15階層までやってきた。C級のダンジョンボス戦だ。
炎をまとったゴーレムのようなボスだった。遺跡に似合いそう。
「アプレイザ」
やはり属性は火みたいね。ゲームっぽさを考えたなら、水魔法かその派生の氷で攻撃だけど。
「アイスアロー!」
ツララを撃ってもだめね。さすがボスは防御が硬いわね。
「フリーズ! ウォーターブレード!」
削れるけど、まだまだな感じ。うーん、面倒になってきたわ。ゴーレムも魔物だし聖魔法が効くんじゃないかしら。
「ホーリーバースト!」
凍りついたゴーレムが砕けて、光とともに消えていった。
カラン……!
赤くて大きい魔石が落ちて、宝箱が残った。どういう仕組みかわからないけど、絶対ゲームなのよこれ。
宝箱を開けると赤い色をした斧が入っていた。斧と魔石をストレージにしまうと、宝箱を閉じて帰ろうとする。その時、宝箱の底に24と言う数字を見つけてしまった。24で連想するのは24時間? 気になったもののギルドで聞くことにして、今度こそ15階層から1階層に飛んだ。
「お腹空いたな……」
思ったより時間が過ぎていたので、今日はギルドに寄らずに、銀星亭に帰った。
今夜はとんかつみたいな料理で、とても美味しかった。何の肉かは、あえて鑑定しないことにした。
リラちゃんはもう寝ていたので、悪かったなと思いつつ自室に戻る。片っ端からストレージに放り込んだので、改めてステータスウィンドウとストレージを見ることにした。
『ストレージと連携』というボタンが見えたので押してみると、ストレージに入れたものが整理されてウィンドウにリスト化された! 衝撃的! ゴブリンの魔石とか表示されてる。それにドロップ品も名前がついている。
チートすぎる……
他にも何かあるかなと思っていると、ロックの外れた新しいウィンドウがあった。
「練金——素材合成?」
なにこれ、なんでもあり?
何が作れるの? ふむふむ薬草と氷花水で中級ポーション? 氷花水ってスライムのどれかからドロップしたもの?
何を隠そう、クラフト系のゲームは大好きだったのだ。ワクワクが止まらない。
今まで魔物ばかり相手にしていたから、薬草がないわ。明日は薬草採取に行ってみようかしら。まずは、そこからね。
その日は、遠足前の子供のように寝付けなかったけれど、夜中には眠りに落ちたと思う。
「ミコおねぇちゃん、今日こそ遊んで?」
「リラちゃん! おはよう。冒険者の仕事もしないといけないけど。そうだわ、薬草採取は安全なのかしら」
朝、そんな話をしていると、同じく常宿にしている冒険者の人が教えてくれた。
「薬草にもよるだろうけど、基本的なものならピクニックがてら、ベルツリーの丘の近くでも、レッドツリーの森の入口でも採取できるんじゃないかな。ギルドで聞いても教えてもらえるよ」
「そうなんですね! ありがとうございます」
朝ごはんを食べた後、リラちゃんとギルドに行くことにした。
「あ! ミコさん! 連絡しようと思っていたんですよ。リラちゃんもおはよう」
ギルドに行くと、トビアスさんが迎えてくれた。「窓口のお姉さんと仲良くなる隙がないわ」と思いながら、またもや別室に連れられた。
トビアスさんにはまだ慣れないのか、リラちゃんはおとなしくしていた。
「Ꭰランクへのランクアップになりました。それとこちらが魔石の買取価格です」
金貨が1枚あった。銀貨1000枚で金貨1枚だから、日給と見るならそこそこね。いや、桁が違うわ。銀貨2枚が1000円としたら50万じゃない!?
「数があったので多めにさせていただきました」
「こんなに!?」
思わず、驚いたままに言葉が出た。
「剣などで戦う人が多いので無傷の魔石は下位の魔物でも値がつくんですよ」
「そうなんですか。じゃあ昨日のはダメなのも混じっているかも」
私はストレージからまた魔石を出した。昨日は最初のうちは火魔法を試していた。その後、解体がわからなくて結局聖魔法で消滅させたけど、風魔法も試したのだ。
「そうですねぇ。今回のは傷がついてますね。きれいなのもありますが、半分から1/4になりそうです。またお時間頂いても?」
「それから、この斧もお願いします」
私はボス戦での戦利品を机に出した。赤くて立派な斧だけれど、ゲーム的に考えるなら、火属性の武器だ。
「これは立派な! 斧は……ミコさんは使われないですね」
トビアスさんは、私の顔を見直して納得した。私も苦笑いで頷いた。




