第六話 C級ダンジョン
ダンジョンもいくらか進むと、気づけば8階層だった。何階層あるかはしらないけど、けっこう魔物を倒したと思う。
レベルアップとは別に『スキルを獲得しました』と脳内通知が来たし、お昼時になってきたので引き返すことにした。各階のボス部屋からだと1階層に戻れる。
「ダンジョンまでの道、今日は魔物が少ないんだけど」と首をひねっている人とすれ違ったので、少し気まずかった。狩りつくしてもだめなのかな?
ダンジョンを出て、街に戻ると昼食を食べ、ギルドに行くことにした。
それにしてもダンジョン、街から近いよね。冒険者が多いとはいえ、近くに魔物がいる危うさを感じるのだった。
お昼はカフェでパンケーキを食べた。ここはゲームの世界なのかな。ゲテモノっぽい食べ物はないし、何でも美味しい。いやでも、この赤いフルーツは初めて見るなぁとフォークで刺しながら、カットされたフルーツを食べる。
鑑定魔法が欲しかったな。
あれ? もしかして、あるのかしら。ステータスウィンドウを魔法辞典にして、それっぽい魔法を探す……
あらやっぱり! あったわ。
「アプレイザ!」
ふむふむ、ドラゴンピーチってなんか、南国っぽい名前ね。文字でしか出ないから、形が桃っぽいものかドラゴンフルーツっぽいものかちょっと気になった。味はりんごっぽいシャクシャクした感じで、香りはイチゴっぽいけどね。
ああ、ややこしくて頭が変になりそう。ドラゴンピーチ、そのまま覚えよう。
そして、カフェを出たあとは予定通りにギルドへ。
「こんにちは! ダンジョンに行ってきました」
勝手がわからないので、ギルドにつくなり挨拶をしてみた。
「こんにちは。買い取りですか?」
窓口に行く前に、目があったトビアスさんがやってきた。
「魔物を倒したときに落ちたものが、石っぽいものとアイテムっぽいものだけなんだけど見てもらえますか?」
「何個くらいありますか?」
「何個……数えてないんですよね」
トビアスさんは、複雑そうな顔をしたあと、「念の為別室で」と言って応接室のようなところに案内してくれた。
「早朝に行って、片っ端から拾ったんですけども」
ストレージから、じゃらじゃら出していく。少しずつ色や大きさが違うものがあるから、魔物の種類かな?
「これを今日半日で? 500はありそうですね。ひとつひとつは価値が低いのですが、多いのでお預かりしてもいいですか?」
「もちろんです。ドロップ品はどうしましょうか、また今度がいいですか?」
「ドロップ品……ですか?」
「魔物が消えたあとに、アイテムみたいなのが落ちていたので、ドロップ品かと」
「魔物が消えた?」
「なんか攻撃すると影も形もなくなるというか」
トビアスさんは、ひどく驚いたあと納得したようだった。
「普通は魔物を解体して取り出すんですよ……消滅させる魔法とはすごいですね」
「聖魔法ってそんなに強いんですかね?」
「ギルド長にも聞いてみます」
私自身が魔法を分かっていないので、助かるかもなどとのんきに思っていた。
「それでですね。討伐数が多いので、多分ですがランクが上がると思います。査定が終わったら連絡したいのですが、どこにすればいいですか?」
ランクがもう上がるのかと思うと嬉しい。私は特に考えずに、今住んでいるところを答えた。
「今は、銀星亭にお世話になっています」
「あぁ、あの家庭料理の美味しいところですね。わかりました」
「そうなんですよ、おじさんの料理は絶品です」
「銀星亭はご亭主が怪我をしたと聞きましたが大丈夫ですか?」
「え? えーっと軽傷だったんじゃないですか」
「それは良かったです」
治癒魔法のことは言えないから、つい言いよどんでしまう。
それから私は気になることを聞いた。
「あの……住むところって宿じゃない方がいいんですか?」
日本での感覚ではホテルは定住先ではないので、住所としていいのか思い直したのだ。
「そうですね。冒険者の方は常宿に住まれている方もいますよ」
「そうなんですね。まだ他に住むところを考えてなかったので良かったです」
そしてその後、銀星亭の部屋に戻ると、拗ねたリラちゃんに捕まった。カフェで買っておいた菓子を出して、なんとか事なきを得てティータイムにした。
明日からどうしよう?
そんな調子だったので、晩御飯を食べたあともすっかり忘れて寝てしまったのだった。
『スキルを獲得しました』と脳内に響いた声のことを。




