↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/25

第二十二話 王城からの召喚状

 S級ダンジョンで魔物が溢れないように狩ったり、B級ダンジョンで駄菓子屋を開いているうちに、一週間ほどが経った。


「父上から手紙が届いたんだ……」


 アルがおずおずと手紙を差し出す。白いきれいな封筒に、封蝋が見える。


「見てもいいの?」

「ああ。一つはミコ宛だし、俺のも見ていい」


 私は手紙に目を通していく。簡単に言うと王城に来いと言っているようだ。


「召喚状?」

「やはり王家の印があるものはそうだったか」

「行かないといけないの?」

「無視しても、まさか反逆罪には問われないだろうけど、立場は悪くなるな」

「そんな……」

「一度、ガーランド邸に行って準備をしよう。念の為にドレスは数着頼んであるけど、王城に行くなら足りないかもしれない。慣れた侍女もほしい」


 ドレス? 多くのことを先回りするアルに守られてるんだなぁと、思うしかなかった。


「教会から結婚報告も届いたろうしね」

「あ! それで、私は国王に居場所が見つかったの? お詫びがしたいとも書いてあるけど、額面通りに受け取っていいの?」

「額面通りにしてやるんだよ」


 アルは不敵に笑う。交渉で頑張るってことかな。冒険者の格好で行っちゃダメかな。


「ミコはガーランド伯爵の妻だからな」

「へ?」

「ガーランド辺境伯は父上だけど、ガーランド伯爵は俺だ」


 確かに、Sランク冒険者のアルは伯爵相当だと結婚のときに聞いたわ。


「ネックレスや髪飾りとかが間に合っていればいいんだけど」

「もしかしてドラゴンの?」

「そう。威圧にはなるからね」


 一揃えは圧巻なのかも知れない。全身緑になるんだろうか。それはちょっと怖いな。


 ガーランド邸に行くとお母様が慌ただしく指示を出して、準備をしてくれているところだった。

 お母様の若い頃のドレスも借りることになった。


「ミコさんのドレスも、揃いの宝飾品も届いてるわよ」

「そうなんですか、ありがとうございます」

「荷物に詰める前に見てみなさいな」


 アルを見上げると頷いてくれたので、見に行くことにした。緑地の大人っぽいドレスに、ホワイトシルバーのドレス。重ねた生地が透けてペールグリーンに見えるふわふわのドレス。


「どれもミコに似合うし、王城にはどれにするか迷うな」

「素敵……。誰かの結婚式とは違う日だから、白を着てもいいのかな」

「ミコは面白いことを言うんだな」


 ホワイトシルバーのドレスは裾に向かって緑に染まっていて、緑の石も縫い付けられていた。豪華なのに清楚だ。


「気に入った?」


 得意そうなアルの瞳を見て、顔が熱くなったけど、微笑んで頷いた。

 

 ネックレスはペンダント型で指輪とおそろいのようなものと、ドレスに合うような緑の石とダイヤをふんだんに使った豪華なものとあった。気がついたようにアルが言う。


「あぁ、こっちは普段使い用なんだ。つけていい?」

「うん、ありがとう。聞いてなかったけど、この指輪とペンダントにある透明感のある白い石は何だったの」

「そっちはドラゴンのツノなんだ。こっちのネックレスの方はダイヤだけど」


 そうして、次々と確認しては荷物に詰めて馬車に載せていく。


「こっちは、お揃いのブレスレット! ドレスには合わせられないのかな」

「いや、いいんじゃないかな、今着けたいから腕を出して」


 文字通り、アルの色に染められていくのだった。


「もちろん、辺境伯夫人として私も行きますよ」


 お母様の声に我に返る。もう私とアルだけの話ではなくなっているのだと分かった。


 馬車は一路、王都に向かって走っていくかと思いきや、転移陣があるらしい。

 旅行者が使うことはまずないけれど、遠くの地を繋いでいるらしい。王家の管理する転移陣まで問題なく馬車4台が着いた。


 驚きの魔法技術だ。そういえば私の召喚魔法もグリードただ一人の魔法だったのよね。


 準備をして、約束の日に合わせて登城するため、そこから王都のガーランド邸に向かった。


「おかえりなさいませ」


 使用人さんたちが出迎えてくれる。王都に普段は誰もいないから、使用人さんたちが留守を守っているらしい。


「よく来たね」

「あなた。大変でしたわね」


 辺境伯——お父様とお母様が挨拶する。アルとは頷き合っていた。私はお辞儀するに留めた。それから、付き添ってきてくれた侍女は荷解きの指示をしていて、私達は広間に移動した。


「国王陛下は、現在は快癒を公表して表に出ている。そして王太子の母である王妃の実家を調べ、毒を盛った人物を特定し拘束している」

「犯人は殺されたり、死んだりしないの?」

「まあ、そこは魔法と見張りでなんとか」


 思わず素朴な疑問が口から出たけど、対策はしているらしい。ホッとした。


「雇った冒険者が陛下の警護に付いたり、陛下の影とは別動隊で調査してくれてな、王太子の交代までは完了した」

「毒を盛ったのは王太子だったんですか?」


 アルが聞くとお父様は首を横に振った。確か毒か呪いか、犯人も王太子だと確定ではないと言う話だったものね。


「主犯は王妃だったんだ。宰相……侯爵家がどれくらい関わっているかは捜査中だ」

「じゃあ、王太子はどうして交代に」

「王太子は、真の聖女を追放した罪しか計上できなかったんだ」


 意外と小さな罪なことに驚く。


「そこで追放した女性が聖女だったと示す必要が出てきた」

「それで、私は呼ばれたんですか?」

「表向きはそうだ。すまないね。王妃がやったこととは言え、後ろ盾もなくなるわけだから、聖女のことがなくても王太子のままではいられないのにな」


 あのバカ王子はなぜ私を追放したんだろう。好みじゃなかったからと言っても浅慮が過ぎる。考えていたらアルとお父様で話が進んでいた。


「今は第二王子が王太子になったのですか?」

「そうなんだ。第二妃との王子が24歳でな。少し年下だがミコを迎えたいと陛下が言うのだ」

「王子様には婚約者っていないのですか?」


 辺境伯は難しい顔をして黙ってしまった。


「その辺りを含めての召喚状だったんですね。私はもうアルの妻ですから」

「ミコ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。