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性能しか見ていない鍛冶師、左遷先でなぜかバズる~性能特化で赤字子会社を立て直す~  作者: Masaki


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第63話 次の仕事

 販売の話が一段落し、山本と木村、それから佐藤が席を立つ。


「私はお披露目配信の話も確認したいので、この後少し時間いいですか?」

「そっか。せっかく販売するんだから、お披露目配信は大切ですよね」

「販売まではまだかかるけどな」

「配信の日程は販売日が決まってからですけど、必要なものがあれば早めに準備しておきたいです」


 詩が資料を開く。


「前回は15階層まで行きましたし、次は20階層のボスですか?」

「20ですかー……」


 桃が少し考える。


「そこ、一気に難しくなるところですよね」

「21階層から別物」


 葵が言う。


「ダンジョンの雰囲気も変わって、モンスターも一気に強くなるんですよね」


 茜も頷く。


「20階層のボスも、それに合わせてかなり強いんですよ」


 桃が続ける。


「ああ。蒼雷も4回失敗してる」


 詩が少し考える。


「じゃあ、ボスまでは三人で対応して、20階層のボスは一条さんが倒せばいいんじゃないですか?」

「ダメ」


 葵が即答する。


「目立たない」

「私も」


 桃も続く。


「桃セットが目立ちません」

「あー、なるほど」

「最後に一条さんが全部持っていったら、そっちの印象が強くなりますからね」


 茜が苦笑する。


「それは困ります!」

「じゃあ、20階層はやめておきましょう。今回は商品を見せるのが目的ですから」

「そうですね」


 桃も納得したらしい。


「でも、ただ見せるだけは嫌ですね。せっかくなら、実際に使ってるところを見てもらいたいです」

「その方がいいですね。茜さんのワンドは持ち替えて使うところを見せたいですし、葵のモーニングスターも前より性能が上がったことを見せたいです」

「強くなった」


 葵が満足そうに頷く。


「そこもちゃんと見せましょう」

「じゃあ、ダンジョンで実演するのは決定でいいですね」

「はい!」

「いい」

「場所や階層は、販売日が決まってから改めて詰めましょう」

「そうですね」


 詩が資料に書き込む。


「配信機材なんかは、前回と同じように用意しておきますね」

「お願いします」

「それまでに、新しい武器には慣れておきたいですね」


 茜が二本のワンドを見る。


「私もかな。お披露目でいきなり使うのは不安です」

「練習はしてもらって大丈夫ですけど、お披露目配信までは配信で使わないでくださいね」

「先に見せたら意味ないですもんね」

「はい」

「じゃあ、どこかで練習しないとですね」


 桃が自分の片手剣を見る。


「そういえば、皆さんは販売までどうするんです?」

「個人モデルがひと段落しましたからね。また初心者シリーズの開発とか?」


 桃が言う。


「まだ作ってない武器もありますよね」

「作るのは第一製作課だぞ」

「あ、それだと個人モデルの量産と被りますね」


 気づいたか。


「じゃあ今はやめましょう。初心者シリーズは個人モデルが発売されてからで!」

「その方がいい」


 急いで増やす必要もない。


「いちじょー」

「なんだ?」


 葵がモーニングスターを見ながら言う。


「青くしたい」

「今の魔力量じゃ足りない」

「増やす」

「モンスターを倒していけば増えるぞ」

 

 倒すだけだと微々たる量だけどな。


「じゃあ倒す」


 やる気があるなら効率的な方法を伝えるか。


「結局、ダンジョンには行きたいですね」


 桃が笑う。


「魔力を増やせますし、新しい武器の練習もできます」

「私も実戦で持ち替える練習はしておきたいです」

「でも、それだけだと仕事にはならないぞ」

「あー……確かに」


 桃が少し考える。


「それなら、ちょうどいいかもしれません」


 詩が別の資料を取り出す。


「蒼雷さんとの配信以降、他の探索者パーティからコラボの依頼が何件か来てるんです」

「コラボですか?」

「はい。会社としても、初心者シリーズの宣伝を兼ねるなら何件か受けてもいいという話になっています」

「それならやりたいです!」

「私も参加してみたいですね。普段と違う方と一緒に動くのも勉強になりそうですし」

「やる」


 葵も即答する。


「葵ちゃんはモンスター目的でしょ」

「それもある」

「ちゃんと宣伝もしてね?」

「頑張る」


 そこは大丈夫らしい。


「あ、一条さんには製作依頼も来てるんです」

「依頼?」

「はい。配信で使っていた大剣を見た方から、青い武器を作ってほしいそうです」

「青か。会社はどう考えてる?」

「それが、意見が割れてるんですよね」

「割れてる?」

「青い武器を安定して作れる会社として打ち出せれば、桜坂の価値が上がるって考えてる人もいます」

「まあ、そう考えるよな」

「ただ、現状だと狙って安定して作れるのは一条さんだけです。そこを主力にするのはリスクが高いって意見もあります」 

「作り手を増やすのも難しいな」


 作り方を教えても、魔力が足りなければ話にならない。


「それで、一条さんの意見も聞きたいそうです」

「俺の?」

「はい。実際に作る側として、どう思うかって」

「作れなくはないけど、勝手に受けていいのか?」

「勝手に、ですか?」

「青い武器なんてほとんど市場に出ないだろ。そこで桜坂が作って、勝手に値段まで決めたら面倒なことになりそうだけどな」


 青い武器は、一部のトップ探索者が持っているか、博物館に飾られているような代物だ。

 A.M.I.の傘下とはいえ、桜坂単体の立場はまだ弱い。


「今ある青い武器の価値にも影響しますし、各方面との調整が必要になりそうですね」

「だろ?」

「探索者協会や他の魔装企業も無視できないでしょうし……」

「そういうの全部済んでからにしてくれ」

「面倒なんですね」

「面倒だろ」


 作るだけならいい。

 その後であちこちから文句を言われる方が嫌だ。


「分かりました。会社にもその辺を伝えておきます」

「青じゃなくていいなら、普通に作ってもいいぞ」

「それも依頼された方に確認してみます」


 詩が資料に書き込む。


 コラボと製作依頼。


 次の仕事も決まったな。

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