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性能しか見ていない鍛冶師、左遷先でなぜかバズる~性能特化で赤字子会社を立て直す~  作者: Masaki


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52/62

第52話 臨機応変

 12階層。


「じゃあ、次は俺ですね」


 次は速水か。

 確か斥候だったな。


「速水さんは斥候ですよね?」

「そうです」

「じゃあ私、攻撃やる」

「なら私はそのまま盾やりますね」

「私は後ろから魔法でけん制しますね」


 決まったか。


「……早いですね」

「何がですか?」

「決まるのが」

「速水さんが斥候なら、これでいいかなって」

「うん」

「まあ、そうですけど…」


 何か不安なのか?


「じゃあ先見てきます」


 速水の姿が通路の奥へ消える。

 しばらくして、戻ってきた。


「前に5体。ホブゴブリン2、コボルト3」

「了解です!」


 少し進むと、報告通り5体の魔物が姿を見せた。


「来ます!」


 桃が前に出てホブゴブリンの攻撃を盾で受ける。


「葵ちゃん!」

「ん」


 葵が一気に駆け出した。


 コボルトの横をすり抜け、勢いの乗った鉄球で吹き飛ばす。

 そのまま次の一体へ。

 二体目も地面を転がった。


「結構使える」


 かなり気に入ったらしい。


「かっこいい」


 それはもう分かった。


『モーニングスター普通に強いな』

『葵ちゃん止まらないw』

『走りながら振るとか器用』

『スピード乗せて殴ってる?』

『重量軽減と相性いい』

『斥候からジョブチェンジw』

『桃ちゃんは盾続投か』

『速水が斥候ならそうなるわな』


 残りもあっという間に魔石に変える。


「思ってたより普通に戦えてますね」

「速水さんが先を見てくれてるから動きやすいです」

「それだけでもない気がするんですけどね」

「そう?」


 葵はモーニングスターの方が気になるらしい。


「じゃあ次行きましょう!」


 桃もいつも通りだ。



 13階層。


「次は私だね」


 次は……タンクだったか。


「鷹宮さんはタンクですよね?」

「うん。前は任せて」

「じゃあ私が攻撃やります!」

「葵ちゃんは斥候でいい?」

「いいよ」

「私は魔法のままでいきますね」


 今回も問題ないだろう。


「桃ちゃん、アタッカーもやれるんだね」

「一応ソロでも活動してたので。ある程度は大丈夫です」

「じゃあ任せるね」

「はい!」


 しばらく進んだところで葵が戻ってきた。


「いる」

「何体?」

「5。オーク1、ホブゴブリン2、コボルト2」

「オークいるんだ」

「じゃあオークは私が受けるね」

「お願いします!」


 オークの攻撃を鷹宮が正面から受け止める。


 その横を桃が抜けた。

 ホブゴブリンへ斬り込み、反対側では葵の鉄球がコボルトを吹き飛ばす。


 もう一体には茜の魔法。


「桃ちゃん、右!」

「はい!」


 桃がオークの横へ回り込み、剣を叩き込んだ。


「いいね!」

「ありがとうございます!」


『桃ちゃん普通にアタッカーできるじゃん』

『さっき盾だったよな?』

『玲奈いるから攻撃に回ったのか』

『葵は斥候に戻ってる』

『忙しいなこいつら』


 危なげないな。


「やりやすかったです!」

「桃ちゃん、全然迷わないね」

「空いてましたから」

「そういうもの?」

「そういうものです!」


 言い切った。


 まあ、隙があるなら迷う必要はない。



 14階層。


「次は私ですわね」


 紅愛か。

 遠距離アタッカーだったな。


「紅愛さんは遠距離アタッカーでしたよね?」

「ええ」

「それなら、私は回復に回りますね」

「回復もできますの?」

「はい。むしろ得意なのはそっちです」

「でしたら、お願いしますわ」

「もちろんです」

「じゃあ私は盾やりますね」

「葵ちゃんは?」

「前見る。抜けたら殴る」

「お願いします」

「ん」


 相談というより確認だな。


 何度か魔物と遭遇したが、特に危なそうな場面もない。


 桃が止める。

 紅愛が撃つ。

 抜けた敵には葵。

 傷ができれば茜が治す。


 俺の出番はなさそうだ。


「……一条さん」

「なんだ?」

「本当に戦わないんですね」

「そちらのサポートがあるからな」

「俺たちがいるからですか?」

「ああ」


 今も問題なく進んでる。

 わざわざ俺が出る理由がない。


「……なるほど」


 よく分かってなさそうな顔だ。

 俺が戦わないのが気になるらしい。


『一条マジで何もしてないw』

『監督だから』

『今日の仕事:見守り』

『収納袋持ってるぞ』

『荷物係兼監督』

『室長の仕事とは』

『見守りも大事だから……』


 分かってるじゃないか。


「それにしても、本当に誰が入っても形になるね」

「そうですか?」

「悠真が入ったら葵ちゃんが攻撃。私が入ったら桃ちゃんが攻撃。紅愛が入ったら今度は茜ちゃんが回復でしょ?」

「必要なところに入ってるだけですよ」

「うん」

「そういえば、誰が役割決めてるの?」

「誰がって……」


 桃と茜が顔を見合わせた。


「決めてないですよね?」

「そうですね」

「うん」

「……本当に?」

「はい。空いてるところに入ってるだけです」

「うん」

「それがすぐできるのがすごいんだけどね」


 状況によって変えるのは普通だろ。



  15階層。


「最後は僕ですね」


 最後は小鳥遊だったな。


「小鳥遊さんは回復ですよね?」

「はい」

「じゃあ私は魔法に戻りますね」

「私は盾やります」

「葵ちゃんは?」

「斥候。戦闘になったら殴る」

「忙しくない?」

「平気」

「じゃあお願いね」

「ん」

「よろしくお願いします」

「こちらこそお願いします!」


 ここも問題ないな。


 桃が受けて、茜が撃つ。

 傷ができれば小鳥遊が治す。


 葵は相変わらず走り回っている。


『葵ちゃん今日何キロ走ってるんだ』

『斥候とアタッカー兼任は草』

『走るモーニングスター』

『敵からしたら怖すぎる』

『本人めっちゃ楽しそう』


 確かに楽しそうだ。


 しばらく進むと、大きな扉が見えてきた。


「着きましたー!」


『ボス部屋到着!』

『普通に来たな』

『もっと苦戦すると思ってた』

『桜坂側ちゃんと戦えてるじゃん』

『誰入っても安定してたな』

『桃ちゃん盾も攻撃もやってたし』

『茜さん回復までできるのか』

『葵ちゃんずっと走ってたw』

『モーニングスター普通に使いこなしてて草』

『一条は何もしてない』

『監督だから』

『荷物持って歩いてただけでは?』

『ちゃんと見守ってただろ!』


 最後のは分かってるじゃないか。


「思ってたよりずっと順調だったね」

「ああ」

「正直、もう少しフォローが必要になると思ってた」

「皆さんが入ってくれましたから!」

「それを抜きにしても十分動けてたよ」

「そうですか?」


『本人分かってないw』

『空いてる役割やってただけって感覚なんだろうな』

『蒼雷と桜坂で考え方違いそう』

『とりあえず次ボスか』

『ここから本番』

『ボス楽しみ』


 あとはボスだけか。

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