第50話 打ち合わせ
コラボ当日。
ダンジョンの入口近くまで来ると、すでに6人が集まっていた。
向こうもこちらに気づき、一人の男が前に出てくる。
「桜坂魔装製作所の皆さんですね。本日はありがとうございます」
「桜坂魔装製作所、ブランド開発室の一条です。本日はよろしくお願いします」
「蒼雷のマネージャーをしております、久世慎吾です。こちらこそよろしくお願いします」
久世さんと軽く頭を下げ合う。
「では、先にこちらのメンバーを紹介しますね」
久世さんが後ろの5人を見る。
「リーダー兼アタッカーの近藤蓮司です」
「近藤です。本日はよろしくお願いします」
「タンクの鷹宮玲奈です」
「鷹宮です。よろしくお願いします」
「斥候の速水悠真です」
「速水です。今日はよろしくお願いします」
「遠距離アタッカーの紅愛・スターリングです」
「紅愛です。よろしくお願いいたします」
「最後に、回復役の小鳥遊湊です」
「小鳥遊です。よろしくお願いします」
役割が綺麗に分かれてるな。
「では、こちらも紹介します。こちらは三枝です。ブランド開発室の主任をしています」
「三枝茜です。本日はよろしくお願いします」
「配信関係は桜庭が担当します」
「桜庭桃です! 今日はよろしくお願いします!」
「こちらは早瀬です」
「よろしく」
少しは敬語使え。
久世さんが苦笑する。
「大丈夫ですよ。それなら一つ提案なのですが、せっかくのコラボ配信ですので、お互い固い言葉遣いはやめませんか?」
「いいんですか?」
「はい。普段の配信くらいの感じで話してもらった方が、見ている方も楽しみやすいと思います」
「あ、それいいですね!」
「俺たちもその方がやりやすいな」
「では、そうしましょう」
「分かった」
向こうから言ってくれるなら、その方が楽でいい。
「葵ちゃん、最初から正解だったね」
「うん」
調子に乗るな。
「じゃあ、改めて今日の内容を確認しようか」
久世がタブレットを開く。
「配信は桜坂魔装製作所の公式チャンネルと、蒼雷のチャンネルで同時にやります。予定通り、11階層からスタートして15階層のボスまで。長時間になると思うけど、よろしくお願いします」
「はい!」
「休憩は途中で様子を見ながらでいいですか?」
「うん。その辺は無理せずにいこう」
「分かりました」
「それと、せっかくのコラボだから、普通に全員で探索するだけじゃなくて、少し企画を入れたいと思ってます」
「企画ですか?」
「蒼雷のメンバーを一人ずつ、桜坂の4人に加えて探索していくのはどうです?」
「面白そうです!」
桃の顔が明るくなる。
「こっちは問題ないです。むしろ色々勉強になりそうなので助かります!」
「私もいいと思います」
「いいよ」
「一条さん、大丈夫ですよね」
「ああ。大丈夫だ」
戦力は何人いてもいい。
「それなら、こっちも入ること自体は大丈夫なんだけど、俺たちはそれぞれ役割が決まってる。俺が攻撃、玲奈が盾、悠真が斥候、紅愛が魔法、湊が回復だ」
「はい」
「誰が入るかで、そっちの動きも結構変わると思うけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
桃は迷わず答えた。
「私たち、まだそれぞれがスペシャリストって感じじゃないので」
「スペシャリスト?」
「はい。蒼雷の皆さんみたいに、一つの役割をずっとやってきたわけじゃないですし」
桃が笑う。
「だから、入ってくれる人に合わせて動けばいいかなって。それに、蒼雷の皆さんに引っ張ってもらえるなら勉強にもなりますし」
「そうですね。その時のメンバーに合わせればいいと思います」
「平気」
「役割が被る組み合わせもあるけど……」
「そこは問題ないと思いますよ。多少役割が被っても、今回の探索なら支障はないでしょう」
「まあ、それなら。実際に組んでみて調整する感じでいこう」
「はい!」
「じゃあ、交代のタイミングはどうします?」
「蒼雷は5人ですし、今回は11階層から15階層までなので、一階層ごとに交代するのが分かりやすそうですね」
「ちょうど5人だね」
「それなら全員一回ずつ入れますね!」
「順番は?」
少し考えて、蓮司が口を開く。
「じゃあ、俺からでいい? 最初なら何かあっても対応しやすいし」
「お願いします!」
「次、俺行きます?」
「じゃあ12階層は悠真だね」
「その次は私でいいよ」
「では、私はその次にしますわ」
「最後は僕ですね」
「決まりですね。11階層が近藤さん、12階層が速水さん、13階層が鷹宮さん、14階層が紅愛さん、15階層が小鳥遊さん」
「うん。それでいこう」
久世がタブレットに入力する。
「ボス戦はどうする?」
「そこは全員合流でいいんじゃないでしょうか。せっかくですし、最後はみんなで倒した方が盛り上がりそうです!」
「そうですね。ひとまずその予定にしておきましょう」
「あと、桜坂の皆さんは11階層以降が初めてなんですよね?」
「そうですよ」
「何か分からないことがあったら遠慮なく聞いて。危なそうならこっちでもフォローするから」
「ありがとうございます」
「頼りにしてます!」
「あの……」
湊が少し遠慮がちに俺たちを見る。
「皆さん、荷物を持ってないですけど、装備とかは大丈夫なんですか?」
「ああ、これに入ってる」
肩に掛けていた袋を軽く持ち上げる。
「収納袋?」
「そうだ」
「全員分?」
「ああ。武器も消耗品も入ってる」
「へえ……」
玲奈が収納袋を覗き込む。
「便利だね、それ」
「かなり入るからな」
「いちじょー」
「なんだ」
「私のも入ってる?」
「自分で入れただろ」
「うん」
何度確認するんだ。




