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性能しか見ていない鍛冶師、左遷先でなぜかバズる~性能特化で赤字子会社を立て直す~  作者: Masaki


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45/62

第45話 命名

 2種類のロッドは、色々あったが無事に販売することになった。

 販売に合わせて、宣伝用の実演配信も行う予定だ。


 魔力制御と、魔法威力を補助する、魔法職向けのロッド。

 魔法威力と武器強度を補助する、殴れるロッド。


 後者については、営業も広報も最後まで不安そうだった。


「本当にこれ、売るんですか?」


 営業からはそう聞かれたし、


「ロッドとして紹介して大丈夫なんでしょうか……」


 詩にも心配された。

 俺は問題ないと思っていたが、葵はもっと問題ないと思っていたらしい。


「魔法使える」

「はい」

「殴れる」

「はい……」

「強い」

「それは分かるんですけど」

「便利」

「便利なのも分かりますけど……」

「初心者にも使える」

「そこが一番不安なんですよね」


 珍しく葵がよく喋っていた。

 最終的には、


「売れる」


 の一言で押し切った。

 よく通ったな。


 そして配信当日。

 俺たちはダンジョンの入口に来ていた。


「久しぶりですね、公式配信」


 桃が配信用の端末を確認しながら言う。


「そうだな」


 茜は魔法職向けのロッド。

 俺は殴れる方を持っている。


「実演は茜さんと一条さんでお願いします」

「桃じゃないのか?」

「最初は私がやる予定だったんですけど、私は進行もしますし」


 桃が俺の持っているロッドを見る。


「それに、一条さんの方が使った方がPRになりそうです」

「振れない?」


 葵が聞く。


「振れますよ。でも、ちゃんと見せるなら一条さんの方がいいです」

「初心者用なんだから誰がやっても同じだけどな」

「作った本人ですし、一条さんの方がいいかなって」


 まあいいか。


「私も出たかった」


 葵がぼそっと言う。


「まあ、今日はロッドの紹介ですので」


 桃が苦笑する。


「準備できました」


 桃がカメラの前に立つ。

 俺と茜もその横へ移動した。


「じゃあ、始めますね」


 配信が始まる。


「皆さん、こんにちはー! モモ………………桜坂魔装製作所です!」


 まだやるのか。


『溜めた』

『久しぶりのモモ詐欺』

『鉄板だな』

『その間なんなんだよ』


「危なかったです」


『危なくない』

『半分モモちゃんねる』

『公式です』


「今日は新しく販売するロッドをご紹介します!」


 桃が俺たちの方へ手を向ける。


『ロッドきた』

『やっと魔法職用』

『2本?』

『形違うな』

『一条のごつくない?』


「今回は2種類あります。まずはこちらです」


 桃が茜の方を見る。


「魔力制御と魔法威力を補助するロッドです」


『普通にカッコイイ』

『ちゃんとロッドだ』

『ちゃんとって何だよ』

『これ欲しい』


「茜さん、お願いします」

「はい」


 茜が一歩前に出る。


「初心者の方は、魔力の制御に慣れていないことが多いので、このロッドでは制御を補助する回路を入れています」


『制御補助いいな』

『初心者には助かる』

『威力も上がるんだろ?』


「先ほど説明があった通り、威力を補助する回路も入っています。少ない魔力でも威力を出しやすくしています」


『普通に良さそう』

『魔力切れ対策か』

『ちゃんとしてる』

『今回も合成回路か』

『桜坂は合成回路がスタンダード』


「こちらは私と桃ちゃんで設計しました」


『なるほど』

『納得』

『一条は監督?』


「合成回路の最終チェックは一条さんが行っているので、過去のシリーズ同様にちゃんと2つの効果がでますよ」


『安心感ある』

『一条チェック済み』

『初心者用なのに性能いいな』

『で、実際どうなん?』


「じゃあ、使ってみますね」


 ダンジョンを進みゴブリンを探す。


「あ、いましたね。いきます」


 魔力がロッドへ流れる。

 先端の魔石が光り、そのまま魔法が放たれた。


 ゴブリンに直撃する。

 一発で倒れた。


『おお』

『普通に強い』

『一発か』

『いつもより発動早くね?』


「どうですか?」


 桃が聞く。


「かなり使いやすいです。魔力をまとめやすいですね」

「魔力消費も変わりますか?」

「そうですね。消費も少なく感じます。あと、制御が楽なので、結果的に発動も早くなってますね」


『制御補助いいな』

『初心者にはありがたい』

『普通に欲しい』

『これでいくら?』


「価格は後程お伝えしますね」


『焦らすな』

『で、もう一本』

『一条のやつ早く』

『ずっと気になってる』


 桃が少しだけ間を置いた。


「では、次はこちらです」


 俺が持っているロッドへ視線が集まる。


『……』

『ロッド?』

『待って』

『なんか太い』

『先端ごつくない?』

『それ本当にロッド?』

『装飾で誤魔化してない?』


「こっちのロッドは魔法の威力を上げる回路と武器の強度を強化する回路が入っている。コンセプトは先ほどのロッドと同じで、魔力切れ対策だな」


『魔力切れ対策?』

『威力は分かる』

『なんで強度?』

『ロッド壊れやすいの?』

『さっきのは制御だったよな』

『制御外して強度入れたの?』

『方向性変わってない?』

『見た目ごついのと関係ある?』

『嫌な予感してきた』


「一条さんの説明の通り、こちらも魔法の威力を補助する回路が入っています」


 桃は説明を続ける。


「そして先ほどのロッドとは違い、魔力制御の回路ではなく武器強度を強化する回路を入れてます」


『強度?』

『ロッドに?』

『なんで?』


「殴れる」


 少し離れたところから葵の声がした。


『殴れる?』

『今なんて?』

『葵いたのか』


「えーと、強度強化してあるので物理攻撃も可能です。一条さん、説明お願いしていいですか?」


 諦めるなよ。


「魔力が切れた時でも戦えるようにしてある」


『戦える?』

『どうやって?』

『強度強化ってそういうこと?』

『嫌な予感』


「魔法が使えなくなったら、これで殴ればいい」


『殴るの!?』

『やっぱりw』

『ロッドで物理』

『だからその形なのか』

『完全に理解した』


「殴ロッド」


『殴ロッドww』

『物理メインw』

『魔法職用とは』

『斬新な商品名』


「商品名じゃないですからね!」


 桃が慌てて否定する。


 もう遅そうだな。


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