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性能しか見ていない鍛冶師、左遷先でなぜかバズる~性能特化で赤字子会社を立て直す~  作者: Masaki


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第42話 ロッド

翌日。


 ブランド開発室のホワイトボードには、前にまとめた候補がそのまま残っていた。


 槍。

 両手剣。

 ロッド。

 胸当て。

 篭手。


 まだ結構あるな。


「探索者協会にも期待されちゃいましたね」


 桃がホワイトボードを見ながら言う。


「別に急いで全部作る必要はないだろ」

「そうですけど、次は決めないとですよね」

「まあな」

「どれからにします?」


 茜が聞いてくる。


「ロッド」


 葵が即答した。


「早いな」

「魔法職用、まだないから」


 なるほど。


「とんがり帽子も」

「いらない」

「セット」

「何のセットだよ」

「魔法使い」


 コスプレじゃねーか。


「あ、でもロッドはいいんじゃないですか?」


 桃が言う。


「短剣と片手剣はありますし、盾も作りましたからね」

「そうですね。魔法職向けはまだないですし」


 茜も頷く。

 確かに前衛に寄りすぎてるな。


「茜」

「はい?」

「この前の探索で、魔法使ってて困ったことってなんだ?」

「困ったことですか?」


 茜が少し考える。


「色々ありますけど……魔力の残量ですかね」

「残量?」

「はい。どのくらい使っていいのか分からなくて」


 確かに、途中で何度か確認してたな。


「一条さんが教えてくれたので途中から気をつけてましたけど、最初は全然分からなかったです。桃ちゃんと葵ちゃんもいましたし、3人で役割を分けられたので何とかなりましたけど」

「ちゃんと連携できてましたよね」


 桃が頷く。


「できてた」


 葵も頷いた。


「でも、初心者だけのパーティだったら、魔力切れを起こしてもおかしくないと思います」


なるほどな。


「魔力って使っても時間が経てば戻りますけど、最初はどのくらい残しておけばいいのか分からないですよ」

「使えるから使っちゃう?」


 桃が聞く。


「そうですね。敵がいたら倒さないとって思いますから」


初心者ならそうなるか。


「桃も魔法使う」


 葵が言う。


「そういえばそうだな。桃は何か困ったことないのか?」

「この前は特になかったですね。魔法は茜さんがメインだったので」

「一人で潜ることもあるんだろ?」

「ちょっと前まで定期的に配信でやってましたけど……その時は魔力の残量、かなり気にしました」

「やっぱりそこか」

「使い切ったら怖いですからね。まだ探索続けないといけないのに、魔法が使えなくなるのは嫌です」


やっぱり魔力切れを避けたいのは一緒か。


「一条さんはなにか意識してるんですか?」


 茜が俺を見る。


「一撃で倒す」

「…………」

「いちじょーは参考にならない」


 なんでだよ。


 初心者は威力も低い。

 制御も上手くない。

 倒しきれなければ、もう一発。

 それでも駄目なら、また撃つ。


「魔力切れになっても不思議じゃないな」

「私も一条さんに言われなかったら、もっと使ってたと思います」

「じゃあ、そこだな」

「そこ?」


 桃が俺を見る。


「初心者が魔力切れを起こしにくくする」

「魔力量を増やすんですか?」

「それはできない」


 本人の魔力量を増やすには、モンスターを倒して魔力を少しずつ取り込んでいくしかない。


「だから、使う量を減らす」


 俺はホワイトボードに2つ書く。


 制御。

 威力。


「この辺だな」

「発動速度は重要じゃないですか?」


 茜がすぐに反応した。


「欲しい?」

「それは欲しいです。早く魔法を出せるなら助かります」

「魔法職なら欲しいだろうな」

「じゃあ、それも入れます?」


 桃が聞く。


「今回は入れない」

「なんでですか?」

「初心者の魔力切れ対策だから」


 発動速度は重要だ。

 でも、魔力の消費を抑えるわけじゃない。


「制御を補助して無駄な魔力を減らす。威力も上げれば、何発も撃たなくて済む」

「なるほど」


 茜が頷く。


「どっちも魔力を残すためなんですね」

「ああ」

「2つとも入れる?」


 葵が聞く。


「入れよう。回路の合成はもう大丈夫だろ?」

「はい。さすがに完璧ではないですが。一条さんが確認してくれますよね?」


設計は任せるか。


「じゃあ、制御と威力で決まりですね!」


 桃がホワイトボードの二つに丸をつける。


「これで性能は決まりましたね」

「大体な」

「形はどうします?」


 初心者が使う。

 魔力切れを起こしやすい。


 魔力は時間が経てば回復する。

 でも、戦闘中に切れたら回復を待ってるわけにもいかない。


「殴れるようにするか」

「…………」


 桃が止まった。

 茜もこっちを見る。


「強そう」


 葵だけが賛同してくれる。


「だろ?」

「待ってください」


 桃が手を上げる。


「今、ロッドの話してましたよね?」

「ああ」

「魔法職用の?」

「ああ」

「なんで殴るんですか?」

「魔力が切れた時のため」

「魔力が切れたら下がってくださいよ!」

「敵が来たら?」

「それは……」


 桃が止まる。


「ほら」

「ほら、じゃないですよ!」

「一条さん」


 茜が困ったように笑う。


「魔法職は基本、後ろにいるんですよ?」

「知ってる」

「だったら、わざわざ殴れるようにしなくても……」

「近づかれた時に何もできないよりいいだろ」

「それはそうですけど……」

「葵ならどうする?」

「殴る」

「ほら」

「葵ちゃんを基準にしないでください!」


 制御補助。

 威力補助。

 魔力が切れても使える。


 初心者向けとしては、かなりいいと思うんだけどな。


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