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性能しか見ていない鍛冶師、左遷先でなぜかバズる~性能特化で赤字子会社を立て直す~  作者: Masaki


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第38話 探索者協会

数日後。


 俺たちは探索者協会に来ていた。

 通された会議室には、強面の探索者らしき人たちが二十人ほど集まっている。


「なんか緊張しますね」


 桃が小声で言った。


「なんで桃が緊張してるんだよ」


やるのは俺だろ。


「人がいっぱい」


 葵が部屋を見回す。


「葵ちゃん、はぐれないでくださいね」

「子どもじゃない」

「手を繋ぎましょう」

「茜が緊張してるだけ」

「私も手繋いでいい?」


 何しに来たんだ、こいつら。


「桜坂魔装製作所の方々ですね」


 声をかけられて振り返る。


 三十代くらいの男が立っていた。


「探索者協会の五十嵐です。本日はよろしくお願いします」

「桜坂魔装製作所の一条です。よろしくお願いします」


 俺も軽く頭を下げる。


「こっちは三枝、桜庭、早瀬です」

「三枝茜です。よろしくお願いします」

「桜庭桃です!」

「早瀬葵」

「皆さんもよろしくお願いします」


 五十嵐さんは三人にも軽く頭を下げたあと、俺に視線を戻した。


「今回は、こちらで用意した探索者に協力してもらいます」

「あちらの方々ですか?」

「そうです。配信の時とは状況が違いますが、大丈夫ですか?」

「何がです?」

「いえ。結果が出なくても気にしないでください。偶然ってありますから」


 なるほど。

 疑っているのか。


「分かりました」

「……それだけですか?」

「はい」


 やれば分かるだろ。


「では、始める前に判定方法について説明していただけますか?」

「分かりました」


 五十嵐さんだけでなく、集まっていた探索者たちもこちらを見る。


「まず、なんで色々試していくうちに自分の特性が分かるようになるか、考えたことありますか?」

「それは……」

「特性が出るってことは、魔力に何らかの違いがあるからです」

「魔力に違い?」

「はい」


 五十嵐さんが少し考える。


「特性は個人の資質によるものです。魔力を放出するのが得意なら魔法型、身体の中で循環させるのが得意なら身体強化型になるはずです」

「違います」

「……違う?」

「それなら、訓練した人は全員万能型になれるはずです。だが、実際はそうはなりません」

「確かに……私も身体の中を循環させることもできますが、身体強化はほとんどできないです」


 茜が小さく呟く。


「魔力の因子は二種類あります。変化因子と、強化因子です」

「魔力の因子?そんな区分は聞いたことがありません」

「まあ、俺が勝手に呼んでるだけなので」

「……勝手に?」

「名前がないと説明しにくいですから」

「いちじょークオリティー」

「まぁ、一条さんですから」


 また適当なことを言ってるな。


「続けます。変化因子の魔力は、何かに変わることができます」

「何かに?」

「火や水なんかですよ。魔法がイメージに因るのはこの為です」

「なるほど。では、強化因子は?」

「あるものにくっついて、それを強化します。身体強化なら筋肉や骨ですね」

「私は強化因子?」


 葵が不思議そうに見てくる。


「ああ。葵は強化因子が多い」

「でも力普通」

「それは個人の資質だ。速さが伸びるタイプだな」

「そっか」


 ちょっと嬉しそうだな。


「つまり、人によって二つの因子の割合が違うと?」


 五十嵐さんが聞いてくる。


「そうです。その違いが適性として出ます」

「適性があるから魔力の使い方が変わるのではなく、魔力そのものに違いがあるから、得意な使い方が変わる」

「そういうことです」


 五十嵐さんはしばらく黙っていた。


「ただ、体内にある魔力は、初めから活性化しているわけじゃありません」

「……どういうことです?」

「初心者は自分の特性が分からないですよね」

「ええ」

「これは慣れていないからではなく、魔力が活性化していないからです」


 五十嵐さんが少し考える。


「初心者でも魔力を動かせますよ?」

「それは魔力操作なので、活性化してなくても慣れれば動かせます」

「じゃあ、どうやったら活性化するんですか?」


 桃が聞いてきた。


「魔力を取り込むことだ」

「取り込む?」

「ああ。モンスターを倒して、その魔力を取り込む。外部からの魔力に反応して因子は活性化していく」

「だから探索を続けてるうちに、自分の得意なことが分かってくるんですね」


 茜が言う。


「そういうことだ」

「……待ってください」


 五十嵐さんが眉を寄せた。


「それなら、初心者はすぐには判定できないんじゃないですか?」

「一定量の魔力を取り込めばいいんです」

「……モンスターを倒さなくても?」

「はい。必要なのはモンスターじゃなくて魔力なので」


俺は桃たちを見る。


「配信でやりましたが、魔力を動かしてもらって、そこに俺の魔力を流しました。そうすることで効率よく魔力が混ざり合って、因子が活性化します」

「それで特性が出た?」

「そうです」


 五十嵐さんが腕を組む。


「なるほど……理屈は分かりました。ただ、その理論が正しいと証明されたわけではないですよね?」

「俺の個人的な研究結果なので。ですが、結果は配信で見せた通りです」


 五十嵐さんが少し黙る。


「……分かりました。では、実際に確認させてもらいましょう」

「はい」


 五十嵐さんが探索者たちの方を見る。


「まずは、すでに適性が判明している方からお願いします」


 一人の男が立ち上がった。

 さっきから目立っていた、ひときわ身体のでかい男だ。

 男は俺の前まで来ると、腕を組んだ。


「俺でいいのか?」

「お願いします」

「ちなみに、一条さん」


 五十嵐さんが口を挟む。


「この方の適性については、一切お伝えしません」

「分かりました」

「本当に大丈夫ですか?」

「はい」


 何度確認するんだ。

 俺は男を見る。


「じゃあ、魔力を動かしてください」


 さて。

 これで偶然かどうか、分かるだろ。


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