表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
性能しか見ていない鍛冶師、左遷先でなぜかバズる~性能特化で赤字子会社を立て直す~  作者: Masaki


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/62

第37話 悩み相談

ブランド開発室。


 俺は机に広げた資料を見ていた。

 短剣、片手剣、盾。

 最近出した商品はどれもそれなりに売れている。


 桜坂も少しずつ、初心者向けの魔装を作る会社として知られるようになってきた。

 この方向性は悪くない。

 ただ、三種類では少なすぎる。


「茜」

「はい?」

「初心者向けで、今後必要になりそうなものを一度まとめよう」

「次の商品ですか?」

「いや。すぐに作るわけじゃない」


 何を作るにしても、先に全体を見た方がいい。


「とりあえず候補を出すところからだな。毎回人気投票する訳にもいかないだろ」

「そうですね……」


 茜は少し考える。


「武器なら槍でしょうか。距離を取って戦えますし」

「槍」


 候補に追加する。


「両手剣」


 葵が自分の席から口を挟んだ。


「前のアンケートでも人気だった」

「あれは人気ありましたね」

「両手剣も入れるか」


 他には――。


「魔法職ならロッドも必要ですね」

「それもだな」


 槍、両手剣、ロッド。

 武器だけなら、この辺りか。


「防具は?」

「胸当ては欲しいですね。初心者でも使いますし」

「篭手も」


 葵が続ける。


「なら、その二つも入れておくか」


 リストに書き足していく。


 槍。

 両手剣。

 ロッド。

 胸当て。

 篭手。


「斧は?」


 茜が聞いてくる。


「斧は無しだな」

「初心者向けじゃない?」

「ああ。斧を選ぶのは、ある程度戦い方が分かってからでいい」

「じゃあ中級者向けですね」

「その時に考える」


 これで五つ。


 全部作る必要があるかは分からないが、しばらくはこの中から考えていけばいいだろう。


 その時、ブランド開発室の扉が開いた。


「一条さん、お願いがあります!」


 桃がタブレットを持って入ってくる。


「断る」

「まだ何も言ってません!」

「この間、配信に出ただろ」

「配信に出てほしいわけじゃないです!」

「仕事か?」

「…………そこは気にしないでください!」


ここでは仕事を一番に気にしろよ。


「断る」

「待ってください! ちゃんと会社にもメリットありますから!」


 会社に?


「最近、私のチャンネルに相談が結構来てるんです」

「相談ですか?」


 茜が顔を上げる。


「はい。武器のこととか、探索のこととか、パーティのこととか。いろいろです」


 桃はタブレットをこちらへ向けた。


「私に分かるものは返信してるんですけど、分からないものも多くて」

「それでなんで俺にくるんだよ」

「一条さん、なんでも知ってるじゃないですか。 一つくらい一緒に解決しましょう!」


何でもは知らない。


「会社にメリットがあるとは思えないが」

「そこです!」


 桃が待ってましたとばかりに身を乗り出す。


「相談に乗って解決できたら、桜坂の評判も上がると思うんです!」

「……そうか?」

「上がりますよ! 初心者向けの商品を売ってるんですから、初心者の相談にも乗ってくれる会社って思ってもらえたら絶対プラスです!」


 なるほど。

 言っていることは分からなくもない。


「桃ちゃん、ちゃんと考えてたんだね」


 茜が感心したように言う。


「もちろんです!」

「珍しい」

「葵ちゃん!?」


 ただ、それをブランド開発室の仕事にするかは別の話だ。


「却下」

「なんでですか!」

「会社としてやるなら、俺たちだけで勝手に決めることじゃない」

「あっ」


 そこまでは考えてなかったらしい。


「じゃあ社長に――」


 その時、扉がノックされた。


「はい、どうぞ」


 茜が返事をする。


「失礼します」


 入ってきたのは、広報の詩と総務の酒井さんだった。


「あ、詩ちゃん。どうしたの?」

「茜さん、お疲れさまです! 一条室長にちょっと相談があって来ました」

「一条さんに?」


 茜がこちらを見る。


「一条さん、今大丈夫ですか?」

「ああ。大丈夫だ」

「じゃあ、二人ともどうぞ」


 茜が応接用の席を勧める。

 俺も席を立って、二人の向かいに座った。


「それで、相談って?」

「はい。この前の桃ちゃんの配信で、適性判定やってたじゃないですか」

「ああ、やったな」


 桃たち三人の適性を調べたやつか。


「あれを見た探索者協会から、会社に問い合わせが来たんです」

「探索者協会から?」

「はい。本当にあんな短時間で適性が分かるのか、かなり興味を持ってるみたいです」


 別に珍しいことをしたつもりはないんだが。


「それで、他の人にも同じようにできるのか確認したいって依頼が来てます」

「なるほど。協会も知らなかった技術ってことか」

「そうですね。むしろなぜ一条さんが知ってたか不思議です」

「魔力については色々試したからな」


 基本的な技術だけどな。


 酒井さんが書類をテーブルに置いた。


「会社としては、今回の依頼は受けたいと考えています。探索者協会との繋がりができるのは、今後のことを考えても大きいですから」

「なるほど」


 初心者向けの商品を増やしていくなら、探索者協会との繋がりはあった方がいい。


「分かりました。俺は大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」

「ちょっと待ってください!」


 それまで話を聞いていた桃が勢いよく立ち上がった。


 ……今度はなんだ。


「初心者の探索者に試すんですよね?」

「そうみたいですよ」


 詩が答える。

 桃はさっきまで持っていたタブレットを掲げた。


「それなら、ちょうどいい相談があります!」


 ……まさか。


「この人、一条さんの適性判定を受けたいって言ってるんです!」


 やっぱりか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ