帰郷300
「もう着いたのね」その言葉にはリミィのクローンにしては珍しい、戸惑いがある。
エルフである自分ともあろう者が、この先に「何か」がいるはずなのに、ここまで何も感じ取れていない。
気は抜けていない、油断もしていない……なのに、感覚が機能していない。
「よろしいでしょうか、リミィ隊長……」
純粋たるRLHになった案内人も、この状況で何も感じ取れていない事に不安を覚えている。
「えぇ、準備万端よ。ドアを開けましょうか」
「分かりました。ドアを開けて、残りは武器を構えて」
「「「了解」」」
普通よりも大きい扉、兵士達が体を扉に押し付けると体全部を使って押し込む。
『ズズズ……ズズ……』
「警戒を厳に」
「「了解」」
扉をこじ開けている者達は無防備、扉に隙間が出来れば敵が飛び出してくるかもしれない、仲間を守る為に、扉が開かれて出来る隙間に銃口を向ける。
『ズズズ……ズズ……』
「ありがとう、もういいわ」
扉が押し込まれて、人が十分に通れる程になると、リミィのクローンが先頭を切って中の確認をする。
「リミィ隊長」
「赤ちゃんがいる……」
「赤ちゃんがいる……?とりあえず、外を警戒する部隊と中に入る部隊に分けます……リナちゃんと彼女は?」
案内人が躊躇ったのは、部屋の中にいる者達がどういう状況でいるのか想像出来無かったから。
部屋の中が牢屋になっていて、そこでただ捕まっているなら見せても良いが、もしも、人体実験を行われていたら……
「平気よ。スプラッターな状況にはなっていないから」
「そうですか、それじゃあリナちゃん達も入りましょ」
「はい」
「分かりました」
リナも初実も連れられて、扉の先へと入り込んでその先に見たのは、
「本当に赤ちゃんだ……でも……」
「ゆりかご?」
「この私が感じ取れない訳よね。善も悪も無い赤ん坊相手じゃ」
そこで見たのは、人間の赤ちゃん達が赤い木の窪みに安置されている光景であった。




