帰郷299
城の中を駆け巡り、時折現れるミノタウロスを始末する……核露が敵の気を引いているうちに、ダウンジング棒が指し示す方向を進み、敵の心臓部を探す。
初実を囲み、初実を護衛する為に、初実の横を並走するリナ、二人は喧嘩をせずに黙って走っているのだが、リナが唐突に口を開く。
「ねぇ、聞きたい事があるんだけど」
「なに……?」
「あなたが、凄い力を持っているのは、リミィさんが保証するなら認めるけど……あなた自身は、何も感じないの?」
「えっ?ダウジング棒を使ってるじゃない」
「そうじゃなくて……あたしね、RLHっていうの。人の進化した存在、人を導く者って……人よりも優れているからなのか、悪寒を感じる事があるんだけど、それは感じないの?」
「それは……そういう、あなたは感じないの?」
リナが「まだ敵の心臓部に辿り着けないのか」とちゃちを付けるなら、蹴りの一つでもしてやろうかと、初実が足のリズムを整えたが、リナの質問をいちゃもんと捉えずに蹴りをするのを止める。
「あたしは感じない……リミィさん達は、どうですか?」
「ここに何かいる、それは間違い無いけど……リナちゃんの言う通り、間違えた所に来たような違和感を感じるわよね」
リミィのクローンも、自分が「感じ無い」事に違和感を覚えている。
毛が逆立つ興奮も、鳥肌が立つ震えも何も感じない……それこそ本命は他の所にあって、自分達は間違えてここに来てしまったのかと、疑心暗鬼になってしまいそうになる。
「でも、私達はここに居る。それぞれの特殊な存在が、ここには何かあるって感じ取って集っているのが、何よりも大事な事よ」
「だったら敵は……鳴りを潜めているっていう訳じゃないですよね?」
「その程度の偽装なら、感じ取れるものね」
だが、自分達は特殊な生命体で現代の人間とは違う、自分達が感じ取れないという事が「違和感」なのだ。
「あの……ダウジング棒が……」
「あらっ、もう着いたのね」
何やかんやとしていたら、初実の持っているダウンジング棒が、扉の方向を向いてバッテン印にクロスしているのであった。




