帰郷285
「そんな目をしてくても平気、こんなにのんびりしているのは、ドラゴン君という強力な仲間がいるからよ。私達だけだったら、ネズミのように、この城を駆け巡ってたわ」
「気を付けて下さいね……」
キョロキョロしていたドラゴンの首が止まり、心配した目を向ければ、リミィのクローンが気付かない訳が無い。
リミィのクローン達の電撃作戦は、こんなにのんびりと動く事は想定していない。
そもそもの話、上空からの撮影の時点でこの城の縮尺が、人間相手で無いのは分かっていた。
城の中に巨人が住んでいる可能性も捨てきれなかったが、ドラゴンの存在を知った時には『ピンッ』と来ていた、待つべき敵を待っていると、その待つべき敵との邂逅の隙に、ボスの寝首を掻いてしまおうと電撃作戦を組んだ。
「でも、心配してくれたお礼に、あなたに一つの助言をあげる」
「一つの助言?」
「あなたの力は、絶対では無いわ」
「絶対では無い?」
白炎の炎はミノタウロスも角付きのペガサスも、抵抗等一切させずに溶かして消滅させたのに、リミィのクローンは欠点を見付けたという。
「それは、どうしてですか?」
「赤いモノで出来ているこの城も、白炎で溶けたけど崩壊していないのは、レンガと根っ子が絡み付いているからよ」
「レンガと根っ子?」
「レンガと根っ子で城が造られて、そこに赤いモノが混ざり込んでいるの。この拠点は有機物と無機物の融合と言って良いわ」
「それは……」
言われてみれば確かにおかしい、この城が赤いモノだけで創られているのなら、白炎で城も溶けていただろうに、足元はしっかりしていた。
「あなたの対策がされているわ。気を付けなさい、その力だけで戦おうとしたら死ぬわよ」
「……ありがとうございます」
『ブゥォォォンンン!!!!』
自分の対策がされている……それが何を意味しているのか、胸がざわついて緊張が自分の体を走ったのと同時に、廊下に甲高い音が走る。




