帰郷284
(敵は……)
「核露、気になる?」
案内人が「クリア」と言ったからいって「はい、そうですか」とはならない。
兵士が自分の前後を挟んで、目の役割を果たしてくれているが、やはり自分の目で、周りを警戒しなければ納得出来ない。
『ドスン……ドスン……ドスン……』
前を進む兵士をうっかり踏まないように、歩幅を合わせながら進む。
外界と遮断する為に、窓も赤いレンガで塞がれて隙間が一切無く、通路を照らすのは炎とは違う、赤いステンドグラスのランプが周囲を暗く照らす。
他にも、雰囲気が大事と言わんばかりに、花瓶に生けられた赤いチューリップに、蝋を削って作ったかのような真っ赤な絵画。
それらが、自分がいつもの世界と違う所に来た事を認識させるのだが、
(不気味だな……まぁ、こういうのも心理的圧迫を与えると言えば、そうなのかもだけど……)
核露はあまり、怖がってはいなかった。
確かに、ここが異質な世界であるのは間違い無いのだが、内心ではホラーハウスと何が違うのかと、思ってしまう。
核露は、ホラー系のゲームは抵抗が出来無いで、逃げてばっかりで嫌いだが、お化け屋敷は、本気になれば相手を制圧出来るからという理由で、こういうのは怖がらないタイプ。
(おドロドロしい雰囲気なのは分かるけど……これじゃぁなぁ……)
子供騙しと言わんばかりの雰囲気に、眉間に皺を寄せてしまうが、
「それにしても、小人になったみたい……」
「小人?小人って?」
自分の背中で手綱を握る初実も、周囲の様子を見ているのだが、核露と違った意味で眉をひそめてしまう。
「そうね、余程ドラゴン君は期待されているみたいよ。何せ、あなたに合わせて創られているみたいなのだから、このお城は」
「自分に合わせて……」
不気味でおドロドロしい城、その程度にしか思って無かったが、考えてみれば人間サイズでこの城が創られていたら、自分も人型形態になっていなければ、この中を歩き回る事は出来無い。
「さっきのミノタウロスも大型というより、あなたに合わせた普通サイズって事かしら」
「そうですか……」
外に置かれていたミノタウロスの銅像、それが大型ではなく、自分に合わせたサイズだとしたら……
(護らなきゃ……みんなを……)
巨人達が普通に住まう城の中、そんな所に小人が混ざったらどうなってしまうかは、簡単に想像が付く……蹂躙されてしまう。




