帰郷283
(リナはいざとなれば、手を掛ける……のかな……)
リナにとって初実は、友達でも無ければ家族でも無い異物……でも、なんでここまで拒否反応を示すかは分からない。
願わくば、この戦いの中で二人が信頼を築いてくれれば良いのだが、こればかりは自分ではどうにもならない。
「……行こう、敵を消滅させよう」
「そうね、もう行きましょう」
二人の事ばかりを気に掛けている訳にも行かない、敵を倒さなければ世界が滅茶苦茶になる。
『ドスンドスンドスンドスンドスンドスン』
ドラゴンが、部隊を引き連れて前進するのだが敵は襲って来ない。
先程の白炎が余程印象に残っているのだろうか、空で徘徊する角付きのペガサスも、中庭に設置されているミノタウロスの銅像も、気配というのが薄れている。
(通すのか……)
血眼になって、こちらに襲って来て物量で押し切るという選択も出来るとは思うが、それをして来ない。
(自分が罠に嵌まっているのか、敵が手足を出せないのか……)
キョロキョロと周囲を見て、注意が散漫になってしまう。
自分が戦場にいる事は百も承知だが、素人丸出しの挙動がどうしても抜けきれない。
どれにも警戒を払い、どれにも気が張ってしまう……何が大事なのかが分かっていない。
「ねぇ、ドラゴン君」
「はい?」
「私達が前進をするから、ドラゴン君は好きに周りを見ててね」
「……分かりました」
リミィのクローンが、核露が素人だというのは瞬時に看破したのは、その動きからであった。
周囲を警戒するのは良い事なのだが、それが極端になり過ぎて、自分でどうしたら良いのか、分からなくなってしまっている。
「前後に別れて」
「「「了解」」」
注意が散漫になってしまうドラゴンの前後に、部隊を分ける。
それはドラゴンを守る為ではない、前後で展開する事で、集中力が欠けているドラゴンの目の代わりになる。
「確認」
「「「了解」」」
再び城の前に着くと、案内人が兵士達を引き連れて壁に身体を付け、扉が外れてポッカリと開いた入口に銃口をなぞらせて、城の中を確認をする。
「クリア」
「前進」
「「「了解」」」
「ドラゴン君もよ」
「はい……」
案内人が兵士を引き連れて中に侵入すると、それに合わせて核露達も城の中に侵入していく。




