帰郷282
こちらが、どう言ったとしても彼女達は彼女達でくっ付いて来るのは間違い無い、そうなれば、今みたいに周囲に白炎を撒くのは危険になるだろう。
(これは試練なのかもしれない……)
予期せぬ、守らなければならない存在を抱え込んでしまったのは、一度は鳥かごを見捨てて、みんなだけを連れて逃げ出そうとした自分への戒め、負け癖を越える為の重し。
(だとしても、今の問題は……)
負け癖というのは、自分が抱えている問題なのは、間違いないのだが、現状の一番の問題は二人の事だ。
「リナ、初実、二人に伝えておかないといけない事があるんだ」
「「うん」」
二人とも分かっている、この緊迫している状況下で冗談を言う訳が無い事。
これから発する言葉は火内が、核露が考えた上での発言になる。
二人は聞き耳を立てて、彼の言葉に心を傾ける。
「……僕にとっては、二人は大切な仲間なんだ。だから二人が争うというのなら二人を止める。もしもリナが、初実を殺そうとしたら、掴んで地面に叩き付けてでも止める。初美が、リナの意識を消滅させようとしたら、僕の体内にある力を全てを開放して気を失わせてでも止める……仲間だけど、不義理をするのなら、僕は……手加減をするけど、それでも怪我をさせると思う」
「……」
「分かった」
リナは返事をせずに、初実は返事を返した。
「リナ……」
「この作戦が終わるまでは……約束する」
リナの歯切れの悪さには、承諾したくないという意思表明であるのは明白、本人は一応約束はしてくれたが、それが上辺だけの口約束の可能性を否定し切れない。
(リナの心の闇か……軍で育てられていたんだっけ……)
リナもリナで、想いが強い子……というより執着というのが強い。
小此木もツバメも、仲間や友達というより家族として接していたが、それは心を許せる相手が少ないのと、大人に相手にされるというのは、子供ではいられないかったのだろう。
だから、自分を曝け出す事の出来る火内達を、新たな家族として大事にしたいと思っている。




