帰郷281
「さぁ行きましょう。置いて行かれたら、それこそ死んじゃうわ」
毒ガスを散布するドラゴンに近付くのは危険だが、その毒を防ぐリナという人質の盾は持っている。
「ドラゴン君、もうその辺で良いんじゃない。リナちゃんからも、言ってあげて」
「あっ、はい……火内君、まだする?」
「リナ……うぅん、もう平気だよ」
まだリナと火内の絆は切れていない、燃え盛っていた白炎はリナの言葉によって鎮火すると、いつものドラゴンに戻る。
「それで、あなた達と一緒に城の中に入りたいんだけど良いかしら」
「常に、あなた達に気を張る事は出来ませんよ?」
案内人が危惧していた事と同じ事を口にする。
火内にとって、周りに誰かがいるという状況は好ましくない、いざとなれば自分達の身を守る為に、赤い液体を焼き払う白炎を吐く、その時に誰かがいては判断が鈍る。
「でも、ここから帰るとなると私達、あれに襲われちゃうのよね」
リミィのクローンが指差す上空には、あの角付きのペガサスが空を徘徊している。
角付きのペガサス、ここ最近のイメージでは肉壁や、頭数を揃える為の存在のように、ぞんざいに扱われているが、実際は空を飛べる馬なのだ。
筋肉は膨れ上がり、肌肉の筋はまるで太い棒のよう……空からスズメバチが降って来て、芋虫を狩るように、人間を殺す。
今は自分と初実に対して警戒しているから、角付きのペガサス達は、リミィのクローンを襲わないが、これが城の中に入ったら話が変わり、この人達が襲われるかもしれない。
「……どういう作戦で来たんですか」
「電撃作戦で城に侵入、それが出来なったら各々で撤退よ」
「命の保証は出来ませんが、それで良ければ付いて来て下さい」
「ありがとうドラゴン君」
一体どんな考えで、こんな作戦を立てたのかと言いたくなる所だが、彼女の悪びれない態度が言うには、後半の「撤退」というのは存在しない、この城の中に侵入して、この城を落とすという意思を感じる。




