帰郷280
親が不慮の事故で死んで、福利厚生が手厚い軍学校に入学するとか、正義感が強くて、この世界を救う為とか……環境とか、精神面で少々特殊な者が入学して来る場合もあるのだが、問題は、そんな不安定な状態の者が、毒物を所持しているという事。
白炎の毒ガスは、間違い無く自分達にも影響を与える。
全身、生命の源で創られている、赤い液体のように、肉体が消滅する訳ではないだろうが、精神をきたすのは間違いない。
そんな毒ガスを、精神が不安定な者が握っている。
自分達の事が気に喰わなくなったからと、突然毒ガスをばら撒くかもしれないし、敵を倒すためには多少の犠牲は仕方無いと、我々ごと巻き込むかもしれない。
「あの……自分が言うのも変ですけど、火内君は、倫理観は善人よりです。鳥かごでにRLが襲撃して来た時は、ドラゴン形態で戦ってくれて、それに自分達の事を、必死に探してくれました」
「そうなの?」
リナが言っている事は正しい、火内は鳥かごに住む者達を護るために戦い、みんなが生きる世界を護るために戦った。
それは火内の倫理観が善人寄りという事を示しているというのに、十分な証拠になるのだが……一つだけリナが知らない事がある。
それは、鳥かごでの戦いで敗北が決まった時、火内が最後に取ろうとした行為は、みんなを連れて逃げ出す事。
最終的には立ち向かったが、それは突如として、望み薄い勝ち目が見えたから、鳥かごというみんなの住処を護る決心をしたが、あれが最初から最後まで、敗北となっていれば、火内はリナ達だけを連れて地上に逃げていた。
「リナちゃんが、そういうのなら間違いないわよね」
リミィのクローンは親しげに、リナの腰に手を回すと自分達の側に引き寄せる。
それはリナの言っている事を信用しているというジェスチャーではない、万が一の事があった場合、この子がいれば、あのドラゴンが変なマネをしないという事を、案内人達にそれとなく伝える為。
リミィのクローンも、ドラゴンの事を鼻から信用していない、あくまでも友達という絆があるリナがいる限りは、ドラゴンは周囲を侵す行為はしないと算段をしているだけである。




