帰郷279
『ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!』
『ブッ……ブモォォォォォォ!!!!』
赤い液体は生命で満たされているが、それは満たされているだけ、同じ缶ジュースでも0.1%の果汁に果糖した存在と、混じりっ気無しの100%の果汁ジュースとでは味わいも舌触りも違うように、ドラゴンとミノタウロスには差がある。
好機と捉えて動き出したミノタウロス共であったが、威圧されて足が止まる……いや、そんな生易しいものではない。
闘牛が迫って来るよう?電車が迫って来るよう?違う、命を刈り取る白炎が眼前一杯に迫って来る。
『ブゥゥグゥゥゥゥゥ…………』
白い炎はひたすらに白くて、ミノタウロスは白い霧に包まれると、そのまま白い霧の中に消えてしまう。
『『『ヒィィィィィィィィィ…………』』』
次に羽を空に向けて伸ばして軽く羽ばたかせると、白炎が空へと燃え上がり、空で怯えていた角付きのペガサス達を、そのまま空へと昇天させる。
「あれは生物兵器ね」
「あれは私達、偽りの魂を持つ者は大丈夫なのですか?」
案内人も白炎の力を感じ取ったのだが、受けた印象は、まるで毒ガス。
火山が噴火して放出された死の煙、一呼吸すれば体の中を焼き尽くし、体の中に入った煙が体内の成分と全て入れ替わる
一瞬の死、それが精神的な部分を破壊するものに変わった兵器。
自分達に対して危害を加える意思が無いからこそ、あれは自分達に対しては無害であるが、それでも空恐ろしい。
「あれと一緒に行動するのですか?」
「それが出来無いのなら、ここから逃げた方が良いわよ」
「まさか、こんな目に合うとは……外壁に待機させている者達も、こちらに呼びます」
「お願い」
案内人が、核露達と一緒に行動するのを渋るのは訳がある。
クローン人間である自分達の魂が、あの白炎に溶かされるのではないのかという不安もあるにはあるのだが、それよりも、
「リナちゃん……火内君って、訓練兵よね?成績はどんな感じだった?」
「優秀でしたよ……ただ……」
「ただ?」
「本人が言っていたんですけど、色々あったせいで、メンタル面に問題があったらしくて、入学の時には、そこを改竄したとか……」
「特殊タイプの子かぁ……」
鳥かごという安全に暮らせる場所で、軍人になりたがるのは家系か、将来を見据えて手に職をつける為か、諸事情による入学だ。




