帰郷276
周囲の警戒は怠らない……というより、周囲にはドラゴンと同じ背丈のミノタウロスの赤い銅像?らしき物がある。
「初実、あれも生きてるよね」
「うん、気を付けてね」
初実が注いでくれた霊力、それは今まではとは違う、無理矢理体内に注ぎ込まれて、激しい苦しみを伴うモノとは違う、融合によって疑似的な霊能者になれている。
核露が気にしているミノタウロスの赤い銅像らしきモノは、城に根付き、そこから血管のような管が通っている。
木になっている実のように、まだそれは城の一部だが、あの管が千切れれば、ミノタウロスになるのかもしれない。
「ふぅ……」
「しっかり核露、核露はドラゴンだよ。誰よりも強い存在だよ」
「ありがとう」
まだ戦ってもいないのに、体が異常に強張った。
生き延びる負け癖が、過剰な反応をしているのは自分でも分かっているが、中々抜けきれない。
「あれが襲って来ても、勝てるでしょ?」
「もちろん、姫様のドラゴンだからね」
「頼りにしてる」
警戒と怯えの狭間で、核露は前と突き進む、どこから敵が現れても対応出来るように。
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「火内君……」
リナは、火内が進んで行く姿に嫌な予感がしていた。
自分達の本質は助け合う事、互いをカバーしあう事で、足りない所を補わなければならない存在、そういう風に思っている。
「不満かしら?」
「不満です」
火内を戦わせている……本人は戦わなければならない時は戦うタイプ、好戦的では無い……それなのに、あの背中に乗っている少女が、火内をけしかけて戦わせている。
(火内のしたい事は、自分の友達を死なせた事件を調べる事でしょ……)
核露が火内を名乗っているのは、火内を死なせた者達に対する宣戦布告であり、手掛かりを掴む為の撒き餌。
学校生活を続けていても、休暇の日は探索に出掛けたりしていた。
それなのに、あんな訳の分からない進化をする程に、背中の少女に肩入れをしている……それが仲間である火内を、自分達とは違う所に連れて行こうとしているようで、不満を覚えるのであった。




