帰郷275
「でも……リミィ様は、もう死んでいるって……」
「そうよ。死んでこの世界に来て成仏した後に、私の欠片をも持った子が生まれて、その子のクローンが創られて、その器に入ったのが私よ」
「……大変な目にあっていたんですね」
「そうなのよ。あなたのお母様とお話をしたい所だけど、今はあなたに協力して貰いたいの」
自分達の世界を知る少女、興味が無い訳では無いが、優先順位としては後回しにしても構わない。
「協力ですか?」
「敵のど真ん中でゆっくりと会話が出来るのは、あなたとドラゴンお陰。私達だけなら奇襲が失敗して殺されていたわ」
それは初実と核露の、ご機嫌取りをする為のおべんちゃらではない、実際、この城を空ける為に持って来た火炎放射器というピッキング道具は、城に穴を空ける事は出来無かった。
敵の城に突撃するという事は、敵の猛攻を受けるのは必至、一秒すら惜しむ状況で侵入しないといけないのに、持って来たピッキング道具は役に立たなかった。
そして、城内に侵入出来なかった時の作戦はどうであっただろうか?最初の取り決めで、作戦が失敗した時は各々で逃げ出すという約束をした。
城内から溢れ出る敵の兵士から逃れる為に外に出た所に、追ってが差し向けられ、空からは角付きのペガサスの追撃が入る……そういう未来もあったはずだが、現在は、敵がこちらに対して様子見をするだけである。
「リナ、とにかくここを潰さないと……みんなも来てるんでしょ?」
「うっ……」
リナが地上にいるとなれば、みんなも地上に来ているというのは予想が付くし、あれ程吠えていたのに、口籠ったのは正解だという事。
「とにかく、城の扉を開きます。後の行動は手助けしあうのが必要なら、一緒に行動しましょう」
「お願い」
『ガルルルルル!!!!』
『グチュグチュグチュグチュ!!!!』
核露は、納得していないと唸るリナから目を逸らすと、初実を背中に乗せたまま中庭を踏み潰して、城の扉へと向かう。




