帰郷273
自分の背中を駆ける悪寒、それはリナ。
『タッタッタッタッタッタッ!!!!!!!!』
このまま背中を登らせたら、初実が殺される。
なんでそんな考えが浮かぶのか、地上に住む初実と空に住むリナに接点があるとは思えないのだが、
「死ね……」
「……!!!?」
リナの、混じり気の無い殺意の声色を聞いて、その先を考えている暇は無い。
「初実、手綱を離さないで!!!!」
「核露!!!!」
核露は、リナを傷付けるつもりは毛頭無いとはいえ、このままでは初実を殺されてしまう。
『バサァァァ!!!!』
羽を一度羽ばたかせて宙に浮き、体を回転させるのだが、
『タッタッタッタッタッタッ!!!!!!!!』
リナはその動きに合わせて斜め走りをする。
「分かってるよリナ!!!!」
この程度で振り落せる程、リナは容易い存在では無い。
RLH、人類の進化、そんなリナが回転するだけで振り落せるはずが無い……だから、
『ガァシィ!!!!』
「落ち着いてリナ!!!!彼女は、僕を助けてくれた人なんだ!!!!」
体の回転に合わせて斜め走りして、自分の腹へと回った所で、リナを掴む。
『バサァァァンン!!!!』
「リナ!!!!」
「火内君!!!!」
リナを掴むと、そのまま態勢を戻して、二人は顔を見合わせる。
「火内君、いつから喋れるようになったのさ!!!!」
「えっ……それは……」
言われて気が付いた、自分が言葉を喋っている事を。
巨大化した時は、ドラゴンの本質がデカくなるのか、人の言葉を喋る事が出来無かったのに、今は喋る事が出来るようになっている。
「火内君に何をしたのさ!!!!」
「何をって……彼の力が解放されただけよ」
「あなたに巻き込まれたからでしょ!!!!」
「二人ともやめて!!!!」
何処をどう見ようと険悪な雰囲気に、核露は声を張り上げる事しか出来無い。
「……良いんですか?あの三人」
「良いじゃない、友好を確かめあうのも大事よ」
「リナちゃん殺そうとしてますけど?」
「今この瞬間の感情が一生続く場合もあれば、後々変わる事だってあるでしょ。それよりも、あっちをどうするか考えましょ」
「あっち……?あれは……」
核露達がワチャワチャとしているのを見ているのは、何も自分達だけでは無かった。
中庭の先にある城の扉が開いて、そこから人の顔達が、こちらを覗いているのであった。




