帰郷272
「とにかく扉を開くね。そうすれば勝手に付いて来ると思うし」
「うっ…うん」
自分以外のエルフが珍しいらしく、話しをしたいらしいが、お茶会を開いてのんびりとお話をしている暇は無い。
ここに居るという事は、ここに用事があるという事、こっちが扉を開けば勝手に行動をするだろうし、それでもこちらに興味を示すのなら、話しを聞けば良い。
「離れて下さい、扉をこじ開けます」
自分達の目的を達成する為にも、城の正面にある扉をこじ開けようと足を踏み出したその時、
『タッタッタッタッ!!!!』
「誰だ⁉」
一人の兵士が核露の体を駆ける。
「貴様!!!!」
自分達に危害を加えないなら、目を丸くして牙を剥けないように気を付けもするが、自分達に危害を加えるというのなら、目を細めて牙を剥く。
今の流れ的に、他の兵士達に自分達に危害を加える気が無いようには思えるが、この兵士を殺してから反応を見て良い。
誰も何も言わないのなら、この兵士が勝手に暴走した事、スパイが混ざり込んでいたと判断する。
だが、万が一にも仲間の仇討ちと銃口を向けるようなマネをすれば……皆殺しに……
「火内君!!動かないで!!」
「リ…リナ!?リナなの!?」
自分の体を登る兵士を尻尾で弾いて、そのまま叩き付けようとしたのだが動き止まる。
鳥かごの居るはずの友達……脅威を追い払ったは鳥かごで、平穏に過ごしているはずの仲間が、こんな戦場のど真ん中にいる。
振り上げようとしていた尻尾が止まる。
暴走した兵士とか、スパイとかそんな話ではない、リナが自分の体を駆け登っているだけなのだ。
何があっても暴力を振るう訳が無い、ましてや石田畳に叩き付けて殺す何て、絶対にありえない。
「リナ!?どうして!?」
「説明は後でするから!!!!」
自分の体を駆けるリナ、自分に対して殺意を向けていないのは感じるが、自分の体を踏み付ける足は、そうは言っていない。
何が起きているのか分からずに、リナをそのまま自分の体を駆け抜け……
「核露!!!!その子、追い払って!!!!」
「初美!?まさか!!」
自分の背中に跨るもう一人の大事な仲間、初実をリナが狙っていると、背中に悪寒が走る。




