帰郷270
兵士が出迎えて来ないなら、真っ赤な紅茶に、真っ赤なジャムを乗せたクッキーが出迎えても良いのだが、
「本当に、お邪魔虫みたいね」
こっちが炎でノックをしたというのに、家を焼かれまいと、血相を変えてた家主は出て来い無いし、主の城を守り抜くと、目を吊り上げた出迎えも寄こして来ない。
「だからと言って、このままここで指を銜えている訳には」
「鍵が届くのを待つしか無いわね」
「当てがあるんですか?」
「もちろん、ねっリナちゃん」
「えっ……火内君の事ですか?」
「そう、その子。是非とも会ってみたいの」
リナは空を見上げる、ここに来るとしたら、空を飛んでくると思うのだが、その気配は今の所無い。
「会えるとは思っていますけど、ここで会えるかは分からないです……それより、あれは襲って来ないんですか?」
上空には飛ぶトビウオや、角付きのペガサスがいる。
赤い城が、頑固に入り口を閉めているのを考えれば、侵入はされたくないのは間違い無いはず。
「会えるわよ。だって、あれが空で待機しているのは、敵を待ち待ち構えているの。城に侵入している私達を無視してでも、備えていなければいけない相手を気にしているの」
「ここに来ますかね……」
リナ的には、ここに火内は来ないで欲しいという気持ちがある。
自分の所に来るよりも、ミィオ達の方に来てあげて欲しい……仲間の事を想えば、どっちが生き残れるかを考えれば、助けるべきはミィオ達だと思うべきだと。
「来るわよ、それもすぐにじゃないかしら」
リナとリミィのクローンの考えの違い。
それは仲間を思い遣る者と、物事を感じ取る者の違い。
リナは、火内という仲間が、鳥かごの襲撃の時のように助けに来てくれるという信頼……絆があるから、こっちには来ないと期待している……のだが、
『『『……!!!!バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサ!!!!!!!!』』』
「どうやら、私の予感の方が勝ったみたいね」
「火内君……」
空を飛ぶ角付きのペガサス、空を飛ぶトビウオが大きくうねって動き出すと、その先の方から一匹のドラゴンが、突っ込んでくる姿が見える。




