帰郷267
(これが私達の実力……)
歩幅を合わせる存在がいないチーム。
あの時は人間がいたから、ペースを落として走ったが、この時は違う。
RLHもどきとはいえ、その身体能力は高く、森の中という最悪のコンディションの中でも、トップアスリートが走るかのように、野生の鹿のように山を駆る。
(……頼んだよ、火内君)
みんなを火内に任せたいと思ったのは、人間というお荷物を押し付けたいからではない、自分が守ってあげられないから、みんなを助けてあげて欲しいと願っている……その願いが叶えば、みんなと会える。
一心不乱に山を駆けるRLHと、RLHクローン。
敵が、D兵器の渦に巻き込まれているお陰で敵がいない。
デコボコの地面を踏み付け、木の根も岩も踏み付けて大地を踏破する。
一刻立っても息を切らす事無く、二刻立っても誰も脱落したり等しない。
人間が全力で走らなければならない場所を、彼女等は森林浴をするかのように軽やかに突き進む。
息切れを起こすこと無く、森の中を突き進んで、遠目に敵の城が見えた所で、
『バッ!!!!バッ!!!!』
先陣を切って、森の中を駆け抜けていた案内人が、右手を上げて下げると、それを合図に、全員が足を止める。
「戦闘準備」
「「「了解!!!!」」」
半分が周囲を警戒し、残りの半分はヘルメットを外し、栄養補給用の液体を口に付けて飲み終えると、
「交代」
『『『ゴクゴクゴク!!!!』』』
交代して栄養補給を取り終える。
最後の晩餐ではない、戦う為の栄養補給。
これがRLHの戦闘準備。
体の中のガソリンは、この時間でスッカラカンになっている。
出撃する前に食事はしたが、胃の中に入れた食事は全て溶かしてエネルギーにした。
人間が、食べた物を胃で溶かして、ゆっくりとエネルギーに変換するのと違い、RLHは胃に入った物を瞬時に溶かしてエネルギーにする事が出来る。
それでは、日常の生活はどうするのかと思うかもしれないが、興奮するとアドレナリンが分泌されるように、RLHは感情で胃液の濃度をコントロールが出来る。




