帰郷260
自身の感情なのか、プログラミングされている物に踊らされているのか……不安になる。
「リナさんは……生きて帰って来るんですよね……」
「みんなと一緒に暮らす、それが望み。だからバラバラになった物を全て取り返す……だから必ず勝つ……だから、みんなが平和に暮らせる世界を手にする!!!!」
「みんなと一緒に暮らす」その言葉を言ってる時は、頬が緩んで未来を見つめ、最後の言葉を言った時は、怖い程に精悍な表情をする。
そこにはリナがいる、自分の遺伝子に刻み込まれたプログラミングを越える意思がある。
「あたしはここに居るから、心配しないで」
「……はい」
「ここに居る」というのは、みんなが散り散りになった事に対してのアンサー。
これからも、みんなが離れていったとしても、自分は、みんなから離れていかないという事……だが、
「少しだけ一人になっても良いかな……戦いに向けて、集中したいかも……」
「分かったッス……」
今は一人で居たい。
朗らかな笑顔が、自分の遺伝子に引き摺られて、引き攣った笑顔になる。
「……次の食事の時間には、また持って来ますから」
「お願い……」
自分の中で出来るだけの笑顔、本能に逆らった笑顔で二人を見送り、格納庫で一人になると、
「鳥肌が立ってる……」
RLH用のパワードスーツの中で、体が悲鳴を上げている。
警戒しろ、敵は強い、今までの比では無いと警告をしている。
「ミンク……ドラゴンもどき……ミノタウロス……キノコ……不思議の国の兵士……」
自分が知り得る者の名を出すが、体は同意しない。
まだ、接敵すらしていない敵に感じる悪寒は、今まで命の理取りをして来た者達では比類しない。
「原人……火内君……」
顔を上げて、他に自分の体が反応するであろう者達の名前を上げたが、体はそれでは無いと否定する。
雷撃を使う原人、ドラゴンになれる少年……それらすらも越える存在となれば……残っているのは、
「あの化け物と同等な敵か……」
『ゾワッ……!!!!』
鳥かごに現れた得体の知れない化け物を想像した時、体が強く震えた。




