帰郷259
味わってはいる、口を含んだ時に美味しいと思った……だけど、これ以上は食べたいとは思わない。
リナの中のラインを越えてしまう、戦うというラインを。
今回の作戦は数日の話ではない、始めたら数時間で終わらせる作戦、敵の本拠地に忍び込んで親玉を叩く。
それはいわば決闘、面と面の殲滅戦とは違う、点と点の戦い。
必要なのは持久力では無く、一瞬の爆発力。
食事を大量に取って、体の感覚が鈍らないように、点滴のように適量だけを体に入れる。
「今回の戦いは、そんなに激しくなりそうなんですか……」
凜が心配して聞いてくる。
それは火内を連れ帰って来れるとか、この戦いに勝てるとか、そんな事を聞いているのではない。
リナが生きて帰って来れるかという心配。
リナに死んで欲しくないから、この戦いが終わったら、また顔を見て、声を聞きたいから、無事に帰って来て欲しいと願っている。
「凛ちゃんは、人間だよね」
「はい……核露さんみたいな、ドラゴンじゃないです」
「ドラゴンがこの世界にいて、RLも世界にいて、クローン人間もいて、化け物もいる世界……人間にとっては住みにくい世界だと思わない?」
「それは……」
「この世界は広いけど、私達の世界は、これだけの知能を持った生物を受け入れる事は出来無い……だから間引かないといけないと思うの、人類の為に」
「リナさん……それは……核露さんを……」
いつもの朗らかで柔和な表情の無いリナ、心の底から、他の生物が人間が生きていくには邪魔だと思い、
「私達に人間に協力してくれる生物なら生かす、そうでなければ種を亡ぼす」
腹の底から、人類の邪魔になる生物は皆殺しにすると決意をしている。
「あたしは今ね……人類の為に、あたしの側にいる事を許している者の為に、敵を殺す」
「リナさん……リナさんは……」
凛は言葉が詰まる。
人類の宿命を背負っているというのは分かるが、狂気じみた発言には違和感を…例えるならプログラミングのような物を感じる。
RLHという種が、人類の敵になる存在が現れた時、闘うようにプログラミングされていて、それにリナの感情が組み合わさっているかのような……




