帰郷250
『グチュグチュ…………』
『…………!!!!』
鋼鉄のドラゴンの手は鋼鉄、そんなのは当たり前の話なのだが、それがとんでもない話なのだ。
鋼鉄の手は、筋肉による収縮ではない、モーターによる開閉。
弾力の無い鋼鉄の手によって、粗大ごみを潰すかのように無機質に握る。
『グチュグチュ……』
『…………!!!!』
身体を握り潰される角付きのペガサスは、水の入った人形のように身体が膨張する。
胴体から行き場を無くした赤い液体が、鋼鉄の指の隙間から水ぶくれのように膨らみ、頭が、お尻が、サーカスのバルーンかのように丸々と膨らむ。
『…………!!!!』
『キュキュキュキュ…………』
胴体を絞られて、膨れ上がった角付きのペガサスに、抵抗等出来ないのだが、鋼鉄のモーターは一切の手加減をしない。
角付きのペガサスが苦しいと言わんばかりに、身体を『ボヨンボヨン』とさせるが、無機質な鋼鉄の手に慈悲が宿る事は無い。
パイロットから与えられた指令通りに手を閉じる、手の中に何がいようと、お構い無しにだ。
鋼鉄の手が握り締められる程に、角付きのペガサスが膨張するのだが、膨張する先が目と蹄に尻尾……それに角先と末端が膨れ上がる。
『…………!!!?』
それが意味するのは表面の限界、膨れ上がれるところが膨れ上がり、それでも膨張をし続ける為に最後の足搔きをしている。
細い毛のような尻尾がホースのように膨れ上がり、鉱石のような蹄が弾けたポップコーンのように膨れ上がり、アーモンドのような瞳がアンコウのように膨れ上がり、針のような角が人参のように丸々と膨れ上がり……全てが限界を迎えても、鋼鉄の手が握り締めた瞬間、
『ブゥッッチュルルルルルルルルルルルルル!!!!!!!!!!!!』
限界を超えたその瞬間、尻尾が、目が、蹄が、角が破けて、赤い液体が噴出するのであった。




