帰郷244
防空網を止めてでも進入する、それは、敵の進行を無防備に許す事。
「行けっ!!!!」
自分の背中を叩いて、ケツを蹴飛ばして突っ切ると、自分達の為に用意された戦場が、眼前一杯に広がる。
「よし、ここだ!!!!」
地上に落下するような間抜けな行為はしない、隼のように空気を切り裂く、細身のフォルムから羽を広げてドラゴンの姿に成り代わっ……
(隊長ダメです!!!!止まらないで下さい!!!!)
(もっと突っ込んで、後ろがつっかえます!!!!)
「なに!?」
ここには居ない二人の声が聴こえ、後方を映すモニターを見ると、仲間はまだ防空網の隙間を抜け切れていない。
「ここで羽を広げていたら……」
自分が羽を広げたら、そこで前が詰まる。
そうすれば後ろから付いて来ている者達は、次々と羽を広げざるを得ない。
隊長にとっても、D兵器を三十機も引き連れての戦いは初めてで、少数部隊の隊列で考えてしまっていたが、もしも、あの時に羽を広げていたら、後方にいる者達は続けて羽を広げるしかなくなり、対空機関砲を完全に止めてしまっていた。
「ふぅ……やはりあの子達に、前に出て欲しかったな」
なぜ、あの二人の幻聴が聞こえたのか定かでは無いが、あの二人なら、こんなへマは最初からしないだろう。
気を取り直し、自分だけでなく部隊全体を、鋼鉄のドラゴンの長として群れを引き連れて、
『ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…………』
「……よし、このタイミングだ!!!!」
『ボォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』
『ボォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』
『ボォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』
防衛線を越えてから、羽を広げてエンジンを噴射すると、部下達もそれに合わせて、次々と羽を広げてエンジンを吹かし、減速を始める。
「上手くいったか」
『『『…………ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ!!!!!!!!!!!!!!』』』
全部の機体が戦地入りすると、蓋をするかのように対空機関砲の弾丸が空を覆う。




