帰郷237
波打つようにしながら、前進して来る翼を持つ砲弾、上下に不規則に浮き沈みするだけで、戦車の命中率が下がる。
砲身が上下に動いて、翼を持つ砲弾を狙うが、狙って撃った時には的は逃げてしまっていて、飽和射撃をする事によって、偶然で翼を持つ砲弾を落としている状況。
「だから突っ込んで来たのか」
こんな時こその対空機銃砲、弾丸の弾幕を張れば翼を持つ砲弾も意味をなさないだろうが、相手も中々に賢い。
空を飛ぶ角付きのペガサス、陸を這うミノタウロスとキノコの兵士、その中間の間を翼を持つ砲弾が飛ぶという三層になっているのだが、これが絶妙の味噌。
高度を飛ぶ角付きのペガサスを落とすには、対空機関砲の射線は高くしないといけない、陸にいる兵士達は正面から迫るミノタウロスとキノコの兵士を迎え撃つ為に、水平で射撃をする。
するとそこには、射線が通らない隙間が出来てしまう。
もちろん、戦車砲による弾丸が、対空機関砲と兵士の間をカバーしているのだが、如何せん、破壊力で敵単体や施設を粉砕するという戦車では、広範囲の敵の殲滅というのは不得手。
その不得手によって現在、敵の進行を許してしまっている。
「面倒な事をしてくれる」
配分を変えなければならない。
地上から攻めて来るミノタウロス達は、このまま兵士達に対応させるにしても、対空機関砲の調整をしなければならない。
「射角の調整を算出させろ!!大至急だ!!」
測定士に、角付きのペガサスと翼を持つ砲弾も対応出来る射角を算出、もしくは部隊を分ける事を視野に入れなければならないが、
『『『バッサァッバッサァッバッサァッバッサァッバッサァッバッサァッ!!!!!!!!』』』』
弾丸をくぐり抜けた、翼を持つ砲弾が射線を抜けて来てしまう。
「迎撃させろ!!!!距離が近い物を撃ち落とさせろ!!!!」
近くに寄って来くれれば、それだけ的に当てやすくはなる。
易々と敵を陣地に近付けてしまう形にはなってしまうが、それでも、迎撃する事が何よりも優先事項。
測定士が、射角を割り出すまでの時間稼ぎが出来れば、それで十分と指示を飛ばしていると、
『『『バッサァッバッサァッバッサァッバッサァッバッサァッバッサァッバッサァァァァァァァァッッッッッッッ!!!!!!!!』』』
「何のつもりだ!!!?」
翼を持つ砲弾は、戦車の弾丸を喰らうまでも無く、自ら地上へと落下を始めるのであった。




