帰郷234
戦車の砲塔のつもりなのか、見よう見まねで創られた砲塔から弾丸が飛び出す。
『ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…………』
「届くのか……そんなので……」
空気を切り裂く音じゃない、空気に抵抗されている音。
飛び出した弾丸は、海賊船から放たれた砲弾のように丸く、とてもじゃないが長距離を飛ぶような代物ではない。
「舐めるなよ……弾丸を飛ばすのだって、技術の粋が集められているんだ」
弾をただ火薬で飛ばしているのではない、弾の形状から、使われる火薬の発展、それに合わせた発射装置、それら全てが合わさった科学の結晶によって、弾丸は何十キロという距離を飛べるのだ。
双眼鏡で覗く弾丸は丸々とした球形、旧世代の発想で作られた弾丸、そんな物では届かない。
城型のゴーレムから飛ばされた弾丸は勢い良く飛び、空気の抵抗と重力に逆らって飛んでくるが、
『ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…………』
その勢いは次第に削がれて、弓なりに落ちていく。
「空気と重力を舐めた結果だ」
もしもあの砲弾の弾がこちらまで届いたら、壊滅的なダメージを受けたかもしれないが、これが答えだ。
見よう見まねでどうにかなる程甘くない、甘い考えの代償によって、敵は貴重な戦力を減らす。
「まったく……この事も報告しないとな」
とはいえ、相手を笑ってはいられない、なぜなら相手は挑戦をしているのだ。
それは人類史と一緒で挑戦と失敗の繰り返し、この失敗で諦めてしまうのか、それとも原因を究明していくのかによって、奴等の戦力が飛躍するかが決まる。
「その前に奴らを壊滅させてやるがな」
焦っては事を仕損じる、ゆっくりとだが歩を進めて敵を死滅させる。
双眼鏡で砲弾の行方を監視する、このままだと森の中に落ちるだろうと予測し、その通りになるか、敵の現状をどう報告するか、その事を頭に浮かべていると、
『バッッサァァァ!!!!!!!!バッサァッバッサァッバッサァッバッサァッバッサァッバッサァッバッサァッ!!!!!!!!』
「……そんな事が出来るのか!!!?」
地上へと落下していくはずだった砲弾から翼が生えて、砲弾が航続距離を伸ばす。




