帰郷224
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「初美は、凄いよ……僕は、アフレクションネクロマンサーが、どれだけ大切な事なのかを全部理解している訳じゃないけれど……それでも、一生懸命に頑張っている初実の力になってあげたい」
核露は濡らしたタオルを、初実の額と目の上に優しく覆い被せ、アフレクションネクロマンサーになろうとしている初美を労わる。
「ねぇ…核露……」
「どうしたの?」
「鳥かごに居た時、必死だったんだよね?」
少し濡れているタオルを触りながら、まるで眠りに付く前の子供の様に、核露の御伽噺を聞かせて欲しいとねだる。
「……今でも心が壊れそうになる……「必死だった」のに……自分よりも恐ろしい敵に心が折れて怯えた……ネズミが虎の前で絶望するように、圧倒的な力の差の前では「必死」という言葉の無意味さを知ったよ」
「でも戦ったんだ……どうして?」
「友達を連れて逃げ出そうと思ったんだ……鳥かごに住んでいる人達を見捨てて……僕達だけ生き残れればと思ったんだ。だけどそこで、鳥かごで造られていたドラゴン用の鎧を奪ってさ……賭けたんだ」
「賭けた?」
「うん、賭けたんだ。友達の大切で大事な全てを護り切るという事に……」
濡れたタオルで目を覆う初実に、核露は優しい眼差しを向ける。
「それは……友達の家族って事?」
「そうだね、それもだけど……大事で大切な全て……それは鳥かごという「世界」を護る事……人がそこで安全に生まれて、そこで安心して死ぬ事が出来る場所……怖いモノに襲われずに、思い出を積み重ねていける「世界」を何が何でも護りたくなったんだ」
「自分を犠牲にしてでも?」
「もし、鳥かごを破壊されて僕達だけ生き残っていたら、みんな口で「仕方なかった」って言ってくれただろうけど、二度と「帰る場所」を手にする事は出来無かったっと思う……新しい住処を見付けたとしても、きっとそこは幻のように空虚で……だから、僕が死ぬ事になっても良いと思ったんだ」
「怨霊に憑り付かれてでも?」
「僕の命の引き換えに友達の「世界」は護れる……そうしたらそこで、悲しむ事だって出来るじゃないか……」
核露の声は優しいが、その声には寂しさが混ざって小さく震える。




