帰郷223
(時に初実、気分はどうじゃ?)
(気分?気分は……普通ですが?)
話しを変えるのか、休題するかのような他愛の無い話に、初実はキョトンとしながらも会話のボールを返すと、
(さっきまでは、喉が渇くかのような感覚がしてたのでは?)
(それは…そう……でした……)
言われて気付いた……体の中が空っぽで、喉が渇いたかのような体がマナを求めていたのに、今は水を飲んだかのように、身体が満たされている。
(理由は分かるね?)
(おじい様の魂を私が吸っている……からですか……)
先程の話の流れから推察すれば、自ずと導き出せる答えは、自分と宗司の魂が融合し、宗司の魂をエネルギーに変えているという事。
(日本だけではなく、生贄というのは行われて来た。神に祈りを捧げて願いを叶えて貰い、怒りを鎮めて貰い……命というのは、神に聞き耳を立てて貰える程度には価値があるという事じゃな)
(おじい様……もし私が「魂」と融合出来るとしたら……)
(そうじゃ初実、霊力と魔力の融合に魂との融合となれば、初実が欲しているアフレクションネクロマンサーになれるじゃろう……が、一つ忠告しておくぞ)
(心して聞きます、おじい様)
アフレクションネクロマンサーの「力」の秘密を赤裸々に語ってくれた宗司、その宗司からの忠告となれば無碍にするはずがない。
(あのドラゴンは興味本位で、怨霊と自分を融合させたのではない。それこそ、自分の命を捨ててでも護りたい者がいたからこそ、化け物と成り果てたのだろう……彼から聞きなさい、なぜ怨霊を自分の中に入れたのか、その覚悟を聞きなさい。そして決して安直な考えで、怨霊を体内に入れてはいかんぞ)
(約束します、おじい様)
核露はそれをした、強大な力を手にする為に宗司が忠告する行為を……何故そんな事をしたのか、その時の想いを聞いた事が無かった。
(良い子じゃ……ワシの魂は、ここに置いて逝こう……頑張りなさい初実……)
その言葉を残すと宗司が、雲のように四散して消えていくが、そこには「魂」の器が遺されるのであった。




