帰郷221
その霊能者とエルフのハーフというのが、特殊な存在だというのは聞かされている。
生まれ持ってのアフレクションネクロマンサー、霊能者よりも、エルフよりも優れた者だと教えられているが、それでも……
(お嬢ちゃんが本気を出せば鬼も、悪魔も裸足で逃げ出すじゃとて)
(でも……)
(じゃが……それでも、あの後の礼人には及ばんじゃろうな)
(やっぱり、秘密があるんですね?)
宗司がまず言いたかった事は、初実という存在がとんでもない稀少種だという事、霊能者とエルフのハーフとなれば霊力と魔力を手にする可能性があり、初実は見事に片方だけの力では無く、両方の力を受け継いでいる。
(回りくどくてすまんのぉ、自分の価値を分からずにいるというのは良くない事。特に人として到達出来るであろう高みにいるのに、それを理解していないとなれば……お嬢ちゃんが、その事を分からずに高望みをすれば)
(死ぬかもしれない……)
(…………)
(あっ!?ごめんなさい……)
初実が本気を出せばミノタウロスも、キノコの兵士の群れも、角付きのペガサスだって屠れるが……それを何でも出来ると勘違いして、城型のゴーレムに突っ込めば死ぬであろう……礼人がそうしてしまったかは分からないが……
(お嬢ちゃん、お嬢ちゃんの力は人智を超えている……稀代の霊能者と比べても遜色が無い所か、これから成長をしていく事を考えれば「初美」という名を歴史に残せるほどに)
(はい……)
初美にとって、ここまで称賛されるのは初めてであった。
お母様から聞かされていた礼人、アフレクションネクロマンサー……それはどちらも英雄として素晴らしい人格者であり、自分はその血を引いているという話を聞かされて来たが、それで自分が「初実」という存在を称賛される事は無かった。
(だけど、勘違いしてはいけないよ……君のお母さんは、君が大事だから正しい価値を伝えたくなかった……力がある者の敗北は、碌な死に方が出来んからの)
(はい……)
お母様が本当の事を喋ってくれないのは、自分が生まれる事で、お母様が力を失った事による憎しみでは無く、お母様が持っていた力が、自分に注ぎ込まれたからというのは百も承知している。




